NAS(Network Attached Storage)とはネットワークに接続して複数のデバイスとデータを共有できる補助記憶装置です。簡単な設定でファイルサーバーと同じ働きができるため、多くの企業や家庭で使用されています。
NASの中には複数のHDD/SSDでRAIDを構築しているので、バックアップを取る必要がないと考える方も多いですが、データが消失しにくいとされるRAID5やRAID6でも一定数以上のHDD/SSDが故障すると、データにアクセスできなくなるリスクがあります。
従ってNASのデータも定期的にバックアップを行い、突然のトラブルによるデータの消失に備える必要があります。
本記事ではNASのデータのバックアップに、外付けHDDを選んだ場合の注意点を解説します。
目次
NASの定期的なバックアップが重要な理由
長期間NASを使用すると、データの誤削除、フォーマットミス、RAID崩壊、災害などによりデータが失われる可能性があります。このため、定期的にバックアップを取ることは、突発的なデータ問題が発生しても一定量のデータを復旧できる重要な対策です。
しかし、故障直前に作成したデータでバックアップが間に合わない、バックアップ方法の誤り、または「NASでRAIDを構成しているのでバックアップの必要がない」といった誤解が原因で、データのバックアップが取られていないこともあります。
データ復旧ソフトは主にデータの誤削除の場合に使用可能ですが、RAID崩壊の状況では、より専門的な技術やアプローチが必要になることがあります。
NASのデータが消失した、アクセスできない、またはバックアップが取れていない場合は、NASを自分で操作せず、専門的な復旧技術を持つデータ復旧サービスに相談することを推奨します。例えば、13,000件以上のNAS/サーバーに関する相談実績を持つデジタルデータリカバリーは、年中無休で相談を受け付けています。
NASのバックアップ先の選び方
NASデータのバックアップ先としておすすめできるのは、以下の通りです。バックアップ先を既に決めている場合でも、他の媒体にデータを保存することで、予期せぬデータトラブルに対応できます。
クラウドストレージの場合
クラウドストレージでは、インターネット上のデータセンターにデータが保存されます。どこでもインターネットを使ってデータにアクセスすることができ、複数人でファイルの編集作業も可能です。
後に紹介する別のNASサーバーや外付けHDDでは、機器が破損するとデータにアクセスできなくなる危険性がありますが、クラウドストレージは仮想空間上にあるため、自然災害や機器の経年劣化を気にすることなく使用できます。
ただし、デメリットとして無料サービスと有料サービスで保存できるデータ量が変化すること、クラウドストレージサービスを解約、またはサービスが終了すると保存データにアクセスできなくなる可能性があることに注意しましょう。
別のNASの場合
NASに保存されたデータをネットワーク接続を介して、別のNASに保存することも可能です。NASを新たに導入するコストはかかりますが、別のNASに保存されたデータも複数人での共有や編集が可能です。
バックアップデータを別のNASに保存した場合でも、HDD/SSDの経年劣化やRAID崩壊、水没・停電などの災害によってデータが失われるリスクがあることに注意しましょう。
外付けHDDの場合
低コストでNASのバックアップデータを取得したい場合は外付けHDDがおすすめできます。ケーブル接続するだけでデータをコピーできるため、バックアップを簡単にとることが可能です。
一方で外付けHDDは「強い衝撃」「水没」「3~4年以上の使用による経年劣化」に弱く、破損によるデータ障害を引き起こす可能性があります。これを物理障害と呼び、パソコンやNASの復旧ツールやデータ復旧ソフトでは根本的に直すことができません。
物理障害が発生したHDDはデータにアクセスできなくなるだけでなく、「カチカチ」「カリカリ」といった引っかくような音や焦げたような匂いがする場合があります。
この状態のHDDは破損がひどく、通電を続けるだけで本体にダメージを与えてしまう恐れがあります。NASや外付けHDDを交換・修理に出すとデータが消えてしまうため、中のデータが必要であればデータ復旧の専門家に相談することをおすすめします。
NASでデータのバックアップを取る方法
NASのデータのバックアップを取る方法には何種類か存在します。
NASのHDDの容量やデータの重要度に合わせてバックアップの取得方法を決めましょう。
故障したHDDからデータを取り出す方法は下記で詳しく解説しています。
イメージバックアップ
OS、アプリ、HDD/SSDなどに記録されたデータ配列を全て複製するバックアップ方法です。システム環境を保存・復旧する際に使われるため、データ量は膨大になりやすく、バックアップに長時間を要する場合があります。
ファイルバックアップ
ファイルバックアップではデータが保存されたファイル単位でバックアップを行います。
必要なファイルだけを選択してバックアップを取ることも可能なため、イメージバックアップより短時間で完了できる場合もあります。ただし、アプリ等の設定や使用中のファイルのバックアップは取得できないため、注意が必要です。
レプリケーション
レプリケーションとはリアルタイムでNASのデータをコピーするバックアップの手法です。 バックアップを取るNAS同士は同じデータを保持するため、片方のNASが故障してももう片方のNASに稼働を切り替えることが可能です。
フルバックアップ
フルバックアップでは、1度に全データのバックアップを取得します。バックアップに時間がかかりますが、NASの突然の故障やシステムのクラッシュが起きても全データの復旧が可能です。
増分バックアップ
増分バックアップとは、前回のバックアップ以降に更新されたデータのみバックアップを行います。 バックアップにかかる時間を大幅に短縮できる一方で、トラブルにより前回のデータとの整合性が取れなくなると、以降のバックアップデータを使用できなくなるデメリットがあります。
差分バックアップ
差分バックアップでは、フルバックアップ後に追加・更新されたデータのみバックアップを行います。フルバックアップのデータが基準となるため、増分バックアップよりバックアップの時間は長くなる傾向にあります。
NASのデータを外付けHDDにバックアップする時の注意点
NASのデータを外付けHDDにバックアップする場合、データの管理方法を誤ると、正しくバックアップデータが取得できない恐れがあるため、以下の点に注意する必要があります。
バックアップは複数の機器にわけて取得する
NASのデータをバックアップする際に、1箇所に全データを保存しておくと、災害や人的ミス・経年劣化などによる機器の破損や、バックアップサービスの終了によって、バックアップデータを失ってしまう恐れがあります。
クラウドストレージ・NAS・外付けHDDそれぞれにメリットとデメリットがあるため、NASのバックアップデータは複数の機器に分けて取得することが望ましいです。
NASのバックアップは安全な場所に保管する
別のNASや外付けHDDにバックアップを取った場合、保管場所にも注意しましょう。盗難や自然災害、あるいは不適切な保管方法によるデータトラブルが発生する可能性があります。
外付けHDDは、落としたり、中を開封してホコリが混入しただけでもデータの破損や消失につながるため、5度~35度の清潔な環境下で保管することをおすすめします。
NASのバックアップは時間をかけて行う
NASのバックアップデータを取る際に、途中で強制終了や、通信の切断を行うと完全なバックアップデータが取得できず、今後のバックアップにも影響が出る場合があります。
NASのデータバックアップは容量が大きいほど時間がかかることを考慮し、十分な時間をかけて行いましょう。
ファイルシステムに互換性があるか確認する
ファイルシステムとはデータやファイルを保存・管理する機能を持ちます。デバイスがファイルシステムに対応していない場合、データを認識することができない場合があります。
外付けHDDのファイルシステムはWindowsOS向けのNTFS形式かMacOS向けのHFS+形式で設定されている場合が多く、NASのファイルシステムと異なることがあります。
デバイス同士のファイルシステムに互換性がない場合、バックアップデータを取得した外付けHDDのデータは認識できず、PCに接続すると「フォーマットしますか?」とエラーメッセージが表示されることもあります。
このエラーメッセージに従って外付けHDDをフォーマットすると、外付けHDDに保存したNASのバックアップデータにアクセスできなくなります。
外付けHDDに何もデータが保存されていない場合は、NASのファイルシステムに変更してからバックアップを取得しましょう。
なお、データのフォーマットを繰り返すと保存データが上書きされてしまい、最終的に完全削除される恐れがあります。誤ってNASや外付けHDDのデータをフォーマットしてしまった場合はデータ復旧業者までご相談ください。0と1で構成されたデータを直接修復するため、データ復旧に成功する確率がツールを使用するよりも高くなります。
NASのバックアップを取らなかった場合の対処法
NASのバックアップが取れていない状態で障害が発生した際は、データ復旧業者に相談すると、安全にデータ復旧できることがあります。
データ復旧業者では、初期診断でNASの故障原因を正確に特定し、症状やRAIDレベルに合わせた復旧作業を行います。その結果故障したサーバーからデータを保全することが可能です。
データ復旧を行う場合は、NAS/サーバーの対応実績が多数あるデータ復旧の専門業者に依頼しましょう。一般的にNASのデータ復旧作業は、パソコンや外付けHDD/SSDを復旧するよりも難易度が高く、自力での無理な解決や技術力の低い業者に相談すると復旧できず、保存データも完全に消失する恐れがあります。
データ復旧は「一発勝負」ですが、データ復旧のノウハウや最新機器を駆使するエンジニアが在籍するデジタルデータリカバリーでは、41万件以上の相談実績を元に、機器別の専門のエンジニアによる無料初期診断を行っております。
法人様の場合はNASの出張サービスも利用可能です。機密保持成約書などもご用意しておりますので、まずはお気軽にご相談ください。
デジタルデータリカバリーが選ばれる理由
RAID累計ご相談数13,263件
当社に寄せられたRAIDのご相談件数は13,263件を超え、多くのお客様からさまざまなご依頼をいただいております。この多様なご相談から新しい技術の開発を進め、NAS・サーバーの復旧(復元)ノウハウを日々蓄積し、迅速で安全な復旧を可能としています。 NAS・サーバーの復旧は、当社のトップエンジニアが対応します。培ったデータベースと熟練の技術を駆使し、メーカー・機器・RAID構成・ファイルシステム問わずどのようなNAS・サーバーでも復旧(復元)のご対応をさせていただきます。
他社復旧不可のNAS・サーバーの復旧(復元)実績多数!
実は「別業者が対応できなかった機器が当社でデータ復旧(復元)できた」という実績も多くございます。
NAS・サーバーのデータ復旧(復元)の成功を左右するのが正しい初期診断です。初期診断では、機器の状態をエンジニアが確認し、原因を突き止めます。この時の診断が間違っていると対処法を誤り、データを正確に取り出せなくなってしまいます。 初期診断により異常箇所を特定し、ファイルシステムの解析やデータ構成の再構築など論理障害や、NAS・サーバー内蔵HDD/SSD(ハードディスク)の物理的な障害を復旧していきます。
万全なセキュリティ対策
デジタルデータリカバリーは情報セキュリティマネジメントシステムに関する国際規格であるISO27001/ISMSを取得しています。
さらに、診断のために機器をお預かりさせていただくお客様全員に対し機密保持誓約書をお渡ししております。これは郵送時も同様です。
法人様の場合は指定の機密保持成約書に押印させていただくことも可能です。
更に復旧ラボに入る人物全員が、事前に私物を全てロッカーへ入れ、外部委託の警備員を配置した金属探知機のゲートをくぐる必要があります。
このように情報漏えいに対するセキュリティを徹底しております。
全国無料出張サービスで迅速診断!(法人様限定)
当社は厳重なセキュリティで管理されており、規則上、・持ち出しができないサーバーやNAS・物理的に持ち出しが難しい大型サーバーやNASをお持ちの法人様については弊社エンジニアがお客様ご指定の場所まで伺い、診断から復旧作業まで行います。
復旧~納品までの流れ
最短当日復旧!まずはご相談ください
当社では、初期診断は最短5分、ご依頼いただいた機器の約8割が48時間以内に復旧完了しています。ご相談・初期診断・お見積りまで無料でご案内しています。
また、過去41万件以上のご相談実績から算出されるデータベースを基に、機器や症状ごとに配置された専門のエンジニアが最先端設備と技術力を駆使して正確な診断と復旧作業を行います。大切なデータ、業務にかかわる重要なデータを復旧させたい場合はご気軽にご相談ください。
対応メーカー例
NAS/サーバー 復元対応メーカー表
- Buffalo
- I-O Data
- DELL
- hp
- IBM
- NEC
- FUJITSU
- Logitec
- QNAP
- HITACHI
- Lacie
- TOSHIBA
- Western Digital
- Seagate
- Apple
- corega
- Sony
- NETGEAR
- COMPAQ
- Epson Direct
- SAMSUNG
- CENTURY
- Thecus
- PROMISE
- ASUS
- Lenovo
- センチュリー
- Acer
- Epson
- CineRAID (シネレイド)
- D-RINK
- DATA TALE
- プリンストン
- asi
- G-Technology
- iomega
※その他各種メーカーにも対応しております。現状弊社で対応できないメーカーはございません。お気軽にお問い合わせください。
画像・動画・Excelファイルなど、拡張子がつくものは全て対応しております。
※その他メーカー・ファイルも対応可能です。詳しくはお電話でお問い合わせください。
データ復旧の料金について
データ復旧費用は4つの要素で決まります
-
1総ディスク容量
どれくらいの大きさか?
-
2故障箇所
どこが壊れているか?
-
3難易度
どれくらい壊れている?
-
4工程数
復旧にかかる期間は?
-
1総ディスク容量
どれくらいの大きさか?
-
2故障箇所
どこが壊れているか?
-
3難易度
どれくらい壊れている?
-
4工程数
復旧にかかる期間は?
お電話いただければ、専門のアドバイザーがお客様の状況を伺い、概算のお見積もりと復旧期間をお電話にてお伝えいたします。その後、無料初期診断(お見積もり)のご案内を差し上げることもできますので、金額面についてもお電話にてご相談ください。
データ復旧料金の目安
500GB未満 | 5,000円〜 |
---|---|
500GB以上 | 10,000円〜 |
1TB以上 | 20,000円〜 |
2TB以上 | 30,000円〜 |
※こちらに掲載されている金額は、あくまで総ディスク容量を元にした目安の金額です。 障害内容により、金額が異なりますので、まずはお電話にてご確認ください。
当社復旧費用のおすすめポイント
復旧料金は、診断結果に基づいたプラン(成功報酬制あり)をご提示いたします
当社では、機器の障害状況を診断させていただき、プランをご提示いたします。
成功報酬制プランにおける「復旧成功の定義データ」は、お客様の希望に合わせて設定が可能です。
ご相談・初期診断・見積まで無料で承りますので、お気軽に無料診断・見積サービスをご活用ください。
※症状により、復旧の可否にかかわらず作業費を頂戴する場合がございます。作業費が発生する可能性がある障害に関しては、事前にお客様に状況をお伝えした上で、作業費を発生させて復旧作業に着手するか、そのまま復旧作業に着手せず機器をご返却するかをご判断いただきます。
弊社の独断で復旧作業を遂行し、作業費を請求する事はございませんのでご安心ください。
ご不明な点に関してはお手数ですが、都度担当までお問合せください。
復旧できたデータは全て納品
成功定義データだけでなく、復旧できたデータは追加料金無しで全てご納品いたします。
お見積もり後に追加で作業料を請求することはありません
お見積もり後に追加で作業料金を請求することはありません。復旧の度合いにより、お見積もりから減額される事はあっても高くなる事はございませんのでご安心ください。
※納品用メディアのご購入やその他追加サービスへのご加入については別途料金が発生いたします。
お客様に合った支払い方法が選択可能
クレジットカード・銀行振込・現金支払いに加え、請求書支払い・保険支払い・公費でのお支払い・商社を介してのお支払い等、対応が可能です。ご成約時にお申し出下さい。
官公庁、国立大学法人、上場企業
多くのお客様にご利用いただきました
※ 掲載の許可を得た法人様の一部を紹介させていただいております。
不正アクセスがないかログを確認したい方へ
NASデータのバックアップを取っておくメリットとして、不正アクセス、データの流出、マルウェア・ランサムウェアなどの被害に遭った際に、バックアップデータに保存されたログを確認し、攻撃日時や侵入経路、持ち出しの有無、不自然なアクセスなどを調査することが可能です。
なお、個人情報や機密情報を社外へ情報持ち出しされた場合、企業は法律に基づき、調査を行う必要があります。データが持ち出された・サイバー攻撃を受けた場合、有効な調査はフォレンジック調査です。
フォレンジック調査ではパソコンやスマートフォン、NAS/サーバーなどの電子端末のデータが改ざんされないよう証拠保全を施したうえで、侵入経路や不正アクセスの有無などの調査を行います。
調査結果報告書は警察や裁判所などの公的機関に提出することも可能なため、刑事事件や民事訴訟を見据えている場合におすすめです。
また、調査で侵入経路を割り出し、報告書をもとに自社ネットワークのセキュリティ対策を行うことも可能です。サイバー攻撃や情報持ち出し被害に遭い、電子端末の調査が必要かもしれないと思ったら、お気軽にご相談ください。
よくある質問
いえ、かかりません。当社では初期診断を無料で実施しています。お客様の機器に初期診断を行って初めて正確なデータ復旧の費用がわかりますので、故障状況を確認しお見積りをご提示するまで費用は頂いておりません。
※ご郵送で機器をお預けいただいたお客様のうち、チェック後にデータ復旧を実施しない場合のみ機器の返送費用をご負担頂いておりますのでご了承ください。
営業時間は以下の通りになっております。
土日祝日問わず、年中無休でお電話でのご相談・復旧作業・ご納品・アフターサービスを行っています。
電話受付:0:00~24:00 (24時間対応)
来社受付:9:30~21:00
復旧できる可能性がございます。
弊社では他社で復旧不可となった機器から、データ復旧に成功した実績が多数ございます。 他社大手パソコンメーカーや同業他社とのパートナー提携により、パートナー側で直せない案件を数多くご依頼いただいており、様々な症例に対する経験を積んでおりますのでまずはご相談ください。
この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。