PCを使用中に「フォーマットする必要があります」と表示されると、焦ってしまうことがありますよね。
しかし、このメッセージが現れたからといって、すぐにフォーマットを実行するのは要注意です。誤ってフォーマットを実行してしまった場合でも、データを取り戻せる可能性はあります。
では、なぜこのメッセージが表示されるのか、そして実際にフォーマットせずにデータを復旧する方法はどうすればよいのでしょうか。
このページでは、その原因と、安全にデータを取り戻す方法について詳しく解説します。焦らず正しく対処し、大切なデータを取り戻す方法を知りましょう。
目次
フォーマットとは
「フォーマットする必要があります」といったエラーメッセージが表示される場合、原因として「システム異常」「パソコンの物理的な破損」が考えられます。なおフォーマットとは、ファイルシステム(データ管理システム)に変更を行うことを指します。
この際、フォーマットを行うと、データの削除は行われないものの、アクセスが出来ない状態になってしまいます。また操作を続けると、データの上書きが進みやすく、最悪、データが取り戻せなくなる場合があります。
ただし、パソコン修理業者に依頼すると部品交換によりデータが完全に消失する恐れがあります。「フォーマットしてしまった」あるいは「フォーマットせずにデータを取り出したい」場合は、データ復旧業者まで相談することをおすすめします。
フォーマットが要求される原因
フォーマットが要求される原因は以下の通りです。
論理障害
論理障害とは、PCや外付けデバイスなどの機器本体の破損ではなく、保存されているデータを管理するファイルシステムの破損によって起こる障害を言います。論理障害が起こる原因には以下のものがあります。
- 読み書き中にHDDやUSBメモリを取りはずしてしまった
- 作業中にPCを強制終了してしまった
- 正しい方法でHDDやUSBメモリの取り出しを行わなかった
軽度の論理障害の場合、Windows搭載の修復ツールなどを用いて復旧を行うことが可能な場合がありますが、操作を誤るとデータの上書きや、文字化けが起こるなど、更なる状況悪化を招く可能性があります。
物理障害は論理障害以上に復旧が困難なため、誤操作などの論理障害への対処法では根本的に解決できません。対処法を繰り返し実行すると異常が進行するため、誤操作によるフォーマットでもデータ復旧業者に診断してもらいましょう。
物理障害
物理障害とはPCやHDD、USBメモリなどの機器本体が破損して起こる障害を指し、物理障害の多くは、「落下」「水没」などの直接的衝撃や、経年劣化により起こります。物理障害が発生した際に見られる症状には以下のものがあります。
- 異音・異臭がする
- エラーメッセージが表示される
- 認識しない
異音・異臭などの分かりやすい症状がなく、フォーマット要求が表示された場合、論理障害との判別が難しいとされています。また、物理障害を起こしたPCやHDD、USBメモリの修復を個人で行うことは困難であり、無理に操作を続けると、データが完全に消えてしまう危険性があります。
確実にデータを復旧したい場合は、技術力のあるデータ復旧業者に相談することをおすすめします。
デジタルデータリカバリーでは、過去にいただいた46万件以上の相談内容全てがデータベース化されているため、機器やHDD・障害ごとの”最適な対応方法”がわかるようになっています。他社でお断りされた機器でも対応可能ですので、ぜひ一度ご相談下さい。
論理障害と物理障害は、自力で判別できないことが多い
論理障害と、物理障害では「フリーズ」「フォーマット要求」「ブルースクリーン」など多くの症状が共通しており、障害原因の見分けがつかないことがよくあります。
障害を特定できない状態で、修復ツールを不用意に使うのは控えましょう。安易に自力で対処すると、物理障害の悪化、ないしデータ上書きなど論理障害を併発し、より復旧が困難になってしまいます。
特に物理障害が発生したHDDから個人でデータの取り出しを行うのは、ほぼ不可能です。HDDはナノ単位で動作する超精密機器であり、部品交換など修復作業では、専門設備(クリーンルーム)でHDDを開封し、経験を積んだエンジニアが作業する必要があります。
「故障を判別できない」「安全にデータを取り出したい」場合は、データ復旧の専門会社まで無料初期診断を受けてみることをおすすめします。無料初期診断ではエンジニアが異常の原因を正確に見極め、復旧期間と復旧成功の可能性をお伝えし、料金のお見積りを行います。
HDD内部と障害の関係
超精密機器のHDDでは、多数の部品、プログラムが正常に動作することで、はじめてデータの読み書きを行うことができます。HDDの復旧時は、これら部品やプログラムのうち、どこが故障しているのか、どこに不具合が起きているかを正確に特定する必要があります。
またHDD自体は問題ない場合でも、データが見えない場合、「データを誤って削除してしまった」「上書き保存してしまった」などのヒューマンエラーを想定することが出来ます。
①PCB基板
–HDDの動作に必要な電力を供給する部品
②磁気ヘッド
–データ記録面であるプラッタにデータの読み書きを行う部品
③スピンドルモーター
–データ記録面であるプラッタが両面にある磁気ディスクを回すための部品
④ファームウェア
–HDDの全体の動作をコントロールするプログラム
⑤セクタ
–データ記録の最小単位
⑥データ記録面
–データであるプラッタに傷が物理的に付く”スクラッチ”
⑦PC,外付けHDD筐体の基板
–HDDのPCB基板に電力供給するための部品
(※HDD自体ではない)
①OS(Operation System)
–PC全体のシステムを管理しているソフトウェア。
PCを起動するためには、OSを起動させる必要がある。
②ファイルシステム
–ファイルやフォルダの作成・移動・削除など、データを管理する仕組みのこと。
(Windows, Mac, Linuxによって異なる)
フォーマットせずにデータを取り出す方法
「フォーマットする必要があります」とエラーメッセージが表示された時に、フォーマットせずにデータを取り出す方法は以下の通りです。
別の機器に接続する
PCに接続しているHDDやUSBメモリなどの外付けデバイスを一度別の機器に接続し、認識されるか確認しましょう。
別のデバイスに接続したHDDやUSBメモリが問題なく認識された場合は、PC本体が何らかの原因により不具合が生じていることが考えられます。
チェックディスクを行う
チェックディスクとは、HDDをスキャンしてエラーや異常をチェックし、自動で修復を行う機能です。「フォーマットしますか?」といったエラーメッセージはチェックディスクを行うことで改善できる場合があります。
チェックディスクの実行方法は以下の通りです。
- 検索ボックスに「cmd」と入力し、「コマンドプロンプト」を起動する
- コマンドウィンドウが表示されたら「chkdsk c: /r」と入力する。(rは任意のドライブ文字)
- 「Enter」キーを押す
ただし、チェックディスクでもエラーが修正できない場合は、深刻な論理障害か物理障害を抱えている可能性が高いです。
これらの異常を解決する場合に専門ツールの使用や機器の分解が必要になります。加えて高度な専門知識と手術室並みの清潔な「クリーンルーム」と呼ばれる設備も必要です。
このように重度の障害は個人で対処することは困難です。無理に対処を行うと障害が更に悪化し、パソコンが二度と起動しなくなることもあります。データが必要な場合はデータ復旧業者にご相談ください。
接続デバイスのドライブ文字を修正する
PCに接続したHDDやUSBメモリのドライブ文字を修正することで問題が改善される場合があります。ドライブ文字とは「C:」のように表記される、ドライブやストレージを認識・識別するためのアルファベットです。
ドライブ文字の修正方法は以下の通りです。
- 「Win」キーと「R」キーを同時に押し、「ファイル名を指定して実行」ウィンドウを開く
- 「ファイル名を指定して実行」ウィンドウに「diskmgmt.msc」と入力する
- ドライブを右クリックし、「ドライブ文字とパスの変更」を選択する
- 「追加」をクリックし、ドロップダウンメニューでドライブレターを選択しする
- 「OK」をクリックし、データにアクセスできるか確認する
データ復旧ソフトを使用する
データ復旧ソフトを使用し、データの取り出しを行うことも可能です。
データ復旧ソフトを使用する手順は以下の通りです。
- 公式サイトからデータ復旧ソフトをダウンロードし、パソコンにインストールする
- ソフトウェアを開き、データを復元したいドライブまたはデバイスを選択する
- 復旧ソフトの指示に従い、ドライブのスキャンを開始する
- スキャン完了後に復元可能なファイルのリストが表示されたら、ファイルをプレビューして、確認する
- 復元したいファイルを選択し、保存場所を選択する
- 復旧ソフトの指示に従い、ファイルを復元を開始する
- ファイルの復元が完了したら、安全な場所にファイルを保存する
ただし、データ復旧ソフトを使用できる場合でも、誤操作などで、データ復旧に失敗する場合や、復旧データに文字化けが起こるなど、更に状況が悪化する恐れもあるため注意しましょう。
また物理的な破損が原因の異音・異臭や、データ復旧ソフトを使用しても修復できない異常はこれ以上個人で対処することが困難です。確実にデータを復旧してデータを取り戻したい場合は、一度データ復旧業者に相談することもおすすめします。
データ復旧ソフトの使用における注意点はこちらを参考にして下さい
データが必要な場合は、データ復旧の専門業者に相談する
PCの中に失いたくない大切なデータがあれば、データ復旧の専門業者に相談することを強くおすすめします。データ復旧業者では、復元ソフトでは対応できない物理障害や、重度の論理障害からのデータ復元・復旧が可能です。
これまでの対処方法は、ごく「軽度の論理障害」しか対応できず、「中高度の論理障害」あるいは「経年劣化を含む物理障害」には対応できませんでした。
データ復旧業者では、PCに発生している症状を元にエンジニアによる正確な初期診断を行い、故障原因の特定が可能です。プロが対応するため、データ復旧に失敗するリスクを抑えることができます。
デジタルデータリカバリーでは、相談から初期診断・お見積りまで、無料でご案内しています。まずは復旧専門のアドバイザーへ相談することをおすすめします。
よくある質問
いえ、かかりません。当社では初期診断を無料で実施しています。お客様の機器に初期診断を行って初めて正確なデータ復旧の費用がわかりますので、故障状況を確認しお見積りをご提示するまで費用は頂いておりません。
※ご郵送で機器をお預けいただいたお客様のうち、チェック後にデータ復旧を実施しない場合のみ機器の返送費用をご負担頂いておりますのでご了承ください。
営業時間は以下の通りになっております。
土日祝日問わず、年中無休でお電話でのご相談・復旧作業・ご納品・アフターサービスを行っています。
電話受付:0:00~24:00 (24時間対応)
来社受付:9:30~21:00
復旧できる可能性がございます。
弊社では他社で復旧不可となった機器から、データ復旧に成功した実績が多数ございます。 他社大手パソコンメーカーや同業他社とのパートナー提携により、パートナー側で直せない案件を数多くご依頼いただいており、様々な症例に対する経験を積んでおりますのでまずはご相談ください。
この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。