Windowsでデータを書き込んでいる際に「遅延書き込みでデータを紛失」とエラーが表示された経験はありませんか？

エラーが発生する原因は、パソコンの強制終了やマウントエラーの発生、HDDの故障など多岐にわたるため、自己判断が難しい場合がほとんどです。

このエラーが発生すると、データを紛失するだけでなく動作が極端に遅くなるなど、不具合が発生しやすくなるため早急に対処する必要があります。

この記事では「遅延書き込みデータの紛失」のエラーが発生する原因から修復方法、データを復元する方法について解説しています。

遅延書き込みとは

遅延書き込みとは、データを読み書きが高速な記憶装置上に一時的にデータを保管し、データの書き込みが完了したと判断された時点で、低速な媒体に書き込む動作を言います。

ユーザーが操作したタイミングではなく、書き込み動作に余裕がある時にデータの書き込みが行われるため、システムを高速化することができます。

遅延書き込みでデータを紛失する原因

遅延書き込みでデータを紛失する原因は、以下の通りです。

正しく接続されていない

USBケーブルが緩んでいる、断線しているなど、外付けデバイスとパソコンが正常に接続できていないことが原因で「遅延書き込みでデータの紛失」とエラーが発生することがあります。

外付け記憶装置を使用している場合は、まず接続状況を確認するようにしましょう。

デバイスを強制終了させた

パソコンを強制終了してしまうと、パソコンはメモリに保存されたデータを書き込まずに終了する場合があります。

この場合、実際にデータが書き込まれていないため、データを紛失し、エラーが発生することがあります。

ディスク管理ツールの設定を誤った

ディスクの管理ツールで、誤って遅延書き込みの機能を有効にしており、データの紛失が発生している可能性があります。

遅延書き込みを有効にすることで、システムを高速化できますが、データの書き込み途中に電源が落ちたり、システムがクラッシュした場合、データを失う可能性があります。

重要なデータを扱う場合は、遅延書き込みの機能を無効にしたり、適切なバックアップを取得しておくことをおすすめします。

マウントエラーが発生している

マウントエラーは、接続不良やファイルシステムの破損などが原因で、外部記憶装置のファイルシステムが正しく認識されず、アクセスできない状態を指します。

遅延書き込みが有効な場合にマウントエラーが発生し、データの書き込み前にシステムがクラッシュすると、書き込み途中のデータが失われる可能性があります。

マウントエラーが原因でシステムがクラッシュした場合は、他の原因よりもデータを紛失する可能性が高くなります。

バックアップは定期的に行い、重要なデータを紛失してしまった場合は早急にデータ復旧業者に相談するようにしましょう。データ復元ソフトなどを繰り返し使用するとデータの上書きが発生し、完全に上書きされてしまうといかなる方法でもデータ復旧が難しくなります。

しかし技術力の高いデータ復旧業者であれば、復旧用のツールや復旧経験の豊富なエンジニアが作業するため、上書きが進んで復元ソフトでは復旧できないデータでも、一部ないし全部を復旧できる場合があります。

RAIDコントローラーやバッテリーに異常がある

RAID構成を組んでいるNASやサーバーの場合、RAIDコントローラーのバッテリーに異常がある場合、RAIDのキャッシュメモリでデータを紛失し「遅延書き込みでデータの紛失」と、エラーが表示される場合があります。

RAIDコントロ―ラーのデータ書き込み中にシステムに異常が発生した場合、RAIDコントローラーはデータをキャッシュメモリに保持し、システムが正常に戻ったタイミングでデータの書き込みを再開します。

しかし、RAIDコントローラーに異常が発生している場合、システムが正常に戻る前にバッテリーが消耗し、キャッシュメモリに保存されていたデータを紛失する可能性があります。

内蔵HDDに論理障害が発生している

遅延書き込みでデータを紛失する原因は大きく分けて2種類です。論理障害はマウントエラーやディスク管理ツールの設定ミスなど、システムの異常が原因で発生します。

論理障害が発生すると「遅延書き込みでデータの紛失」のエラーが表示される以外にも、以下のような症状が発生します。

• フォーマットを促される
• OSが起動しない
• 頻繁にフリーズする
• ファイルやフォルダが開けない

論理障害は、システムのバグや、削除・フォーマット・誤操作などでデータが破損した状態を指します。

論理障害は再起動や修復ツールで治ることもありますが、データの上書きを発生させるため、復旧の失敗を繰り返すと、復旧可能性が著しく低下します。

特に業務用パソコンやサーバーを個人で修復することは非常にリスクが高いため、専門業者に相談するようにしましょう。

内蔵HDDに物理障害が発生している

経年劣化や強い衝撃など、物理的な要素が原因でHDD自体が故障した状態を「物理障害」と言います。

HDDに物理障害が発生している場合、エラーが表示されるだけでなく、以下のような症状が発生します。

• 異音や異臭がする
• フォーマットを促される
• BIOSがHDDを認識しない
• OSが起動しない

物理障害と論理障害は症状が類似していますが、復旧作業に専用の環境とツール、技術力が必要になります。したがって個人で物理障害に対処することはほぼ不可能です。

論理障害を併発している場合もあるため、遅延書き込みでデータを紛失した場合、速やかに技術力の高い専門業者に相談することをおすすめします。

 

遅延書き込みで紛失したデータを個人で復元するのは難しい

実際に遅延書き込みでデータを紛失した場合、原因は物理障害であることがほとんどです。この時に機器を分解し、HDDを開封してしまうと、少量のほこりや指紋が付着するだけで状態が悪化します。

したがって物理障害が発生したHDDを復旧するには、クリーンルームと呼ばれる専門設備が必要です。

クリーンルームは手術室に相当する清潔な空間です。HDDを傷つける恐れのあるホコリやチリが全くないため、症状をこれ以上悪化させずに作業を行うことができます。

クリーンルームは一定の規模のあるデータ復旧業者でないと用意することができません。専門業者に相談する前に業者のWebサイトを確認し、専門の設備やツールを保有しているか確認しましょう。業者の中には設備がなく、論理障害の復旧のみ行っているところもあります。

「遅延書き込みデータの紛失」のエラーを修復する方法

「遅延書き込みデータの紛失」のエラーが表示されている場合、以下の方法で修復できる場合があります。

USBケーブルとポートを確認する

USBケーブルが緩んでいないか、内部で断線していないか、正しく接続できているかを確認しましょう。

接続状況に問題が無い場合は、USBポートに問題がある可能性があるので、直接差し込むようにしましょう。

ディスクの書き込みキャッシュ機能を無効にする

書き込みキャッシュを無効にすることで、書き込み完了時に確実にデータがディスクに書き込まれるため、データを失う可能性が低くなります。

また、キャッシュ機能を無効にすることで、書き込みキャッシュで使用する容量が節約されるため、ストレージ容量を節約することができます。

キャッシュ機能を無効にしたデメリットとして、ディスクの書き込み速度の遅延やアプリケーションが開けなくなることが発生する場合があります。必要な場合はキャッシュ機能を有効にするようにしましょう。

ドライバを更新する

ディスクドライバはHDDを正しく動作させるソフトウェアです。ドライバを古い状態のまま放置すると、システムエラーが発生しやすくなるため、ドライバを最新に更新しエラーを修復しましょう。

ドライバを更新する手順は以下の通りです。

万が一ドライバの更新で修復できなかった場合、ディスク自体に問題がある場合があります。物理障害の中でも経年劣化

その場合、ディスクの交換や開封を行う必要があり、個人では対処しきれない問題が発生している可能性があるため、専門業者に相談しましょう。

遅延書き込みで紛失したデータを復元する方法

遅延書き込みでデータを紛失した場合は、以下の方法でデータを復元できる可能性があります。

データ復元ソフトを使用する

データ復元ソフトを使用することで、紛失したデータを復元できる可能性があります。

個人で手軽に試せる点がメリットとして挙げられますが、軽度の論理障害しか復元することができません。

物理障害は修復できず、使用することでかえって状態が悪化し、最悪の場合はデータを消失する可能性があります。

また高性能な有料版のデータ復元ソフトでも、確実に論理障害が原因で紛失したデータを復元できるとは限らないため、重要なデータを紛失した場合は、論理障害と物理障害に対応できるデータ復旧業者に相談しましょう。