HDD(ハードディスク)には、不良セクタというデータを正常に読み出せない領域が存在し、これがHDD(ハードディスク)の動作に支障が出るほど数が増えた場合、修復する必要があります。
特にHDD(ハードディスク)の物理的な損傷によって不良セクタが急増している場合、適切に対処しなければある日突然データを失う可能性があります。自分で対処するかは慎重に判断しましょう。
この記事では、不良セクタの発生原因や修復方法について解説していきます。
目次
HDDに発生する不良セクタとは
HDD上のデータは「セクタ」と呼ばれる最小単位で構成されています。不良セクタとは、HDD上でデータを正常に読み取れなくなったセクタのことです。何らかの理由でデータが正常に読み書きできないと、その箇所は「不良(バッド)セクタ」となります。
通常、HDDは予備セクタを持ち、一定数の不良セクタは修正できる構造です。そのため、不良セクタが存在するからといって、ただちに故障に結びつくわけではありません。
しかし、経年劣化やデータ記録面の損傷により、不良セクタが急増すると、予備セクタでは対応できず、動作に支障をきたす場合があります。そのまま使用し続けると損傷が広がり、データが失われる可能性もありますので、大切なデータが保存されている場合は専門業者に依頼することをおすすめします。
HDDの不良セクタが原因で発生する症状
HDDの不良セクタが原因で、発生するトラブルには、自分で不良セクタを修復し、解決できる場合とデータ復旧業者でしか対処できない場合があります。判断を誤ってしまい、間違った対処をすることでHDDの状態が悪化することで、データを失ってしまうリスクもあるため、自力で対処する場合は注意してください。主な対処法は以下の通りです。
- 頻繁にブルースクリーンになる
- Windowsの起動中に不具合が起こる
- エラーメッセージが表示される
- HDDから「カチカチ」「カタカタ」と異音がする
このような症状が起きている場合は注意が必要になります。
HDDに不良セクタが発生する原因
不良セクタの発生原因については、主に以下の3つが考えられます。
いずれの原因にせよ、HDDで大量発生した不良セクタは自身で修復することが困難なため、データを取り出したい場合は早めに業者に相談することをおすすめします。
HDD生産時の初期不良
HDDは生産時から不良セクタが少なからず存在します。不良セクタ数が異常に多いと、HDDは購入から時間が経っていないにもかかわらず、正常に動作しなくなります。
多くのHDDには初期不良のメーカー保証があるため、購入から間もない状態で「データの読み書きができない」など、不良セクタによるトラブルが頻発するときは、交換依頼しましょう。ただし、メーカー保証ではデータは失われてしまいます。大切なデータが保存されている場合はデータ復旧の専門業者へ相談しましょう。
HDDの経年劣化
HDDの寿命は3~5年と言われています。HDDは消耗品であり、使い続けていると、物理的に破損した不良セクタが増え、最終的には読み書きが不可能になります。ここまでくると、自力で対応することは困難です。
このような状態で機器を継続して使用すると、不良セクタの大量発生している領域がさらに拡大してしまい、データ救出の難易度が飛躍的にあがってしまいます。少しでも不具合が見受けられる場合はお早めにデータ復旧の専門業者へ相談しましょう。
HDDのヘッド破損による記録面の損傷
これはデータを読み書きするヘッドの損傷により、不良セクタが大量発生している状態です。原因としては「HDDを落とした」「転倒させた」などが当てはまります。
HDDから異音がした場合は、HDDの部品が物理的に破損している可能性が高いです。
HDDの構造は、しばしばレコード針とディスクの関係に例えられます。通常、ヘッドはデータの記録面からほんのわずかに浮いた状態で読み書きを高速で行っています。しかし、磁気ヘッドが破損すると、データ記録面に傷をつけてしまい、復旧難易度が高い物理障害を引き起こしてしまいます。これを「スクラッチ」といいます。
スクラッチは、HDD障害の中でも最重度障害の一つです。対応できる業者は世界的に見ても限られますが、デジタルデータリカバリーなら他社で復旧不可と診断された機器の相談を7,300件以上(※1)いただいております。データ復旧は失敗を重ねるごとに完全復旧への難易度があがるため、最新の設備と、復旧率最高値95.2%(※2)を実現させる技術力を持つ当社までご相談ください。
※1:算出期間:2016年6月1日~
※2:2018年2月実績 復旧率=データ復旧件数/データ復旧ご依頼件数 ・2017年12月~2024年8月の各月復旧率の最高値
自力で可能な不良セクタの確認・修復方法
Windowsでは、標準搭載されているツールまたはフリーソフトなどを使用して、不良セクタをチェックして修復することができます。以下の方法を参考にしてください。
エラーチェックで不良セクタを修復する
Windows10の場合、エラーチェックという機能で、修復可能範囲の不良セクタを修復することができます。
エラーチェックで不良セクタを修復する手順は次のとおりです。
- 修復対象のディスクドライブを右クリックし、「プロパティ」を選択します。
- 「ツール」タブ→エラーチェック欄にある「チェック」をクリックします。
chkdsk(チェックディスク)で不良セクタをチェックする
chkdsk(チェックディスク)は、Windowsに搭載されている確認ツールです。これは不良セクタがどれほど発生しているのかを「確認」するためのツールであり、「修復」することには不向きなソフトウェアです。
chkdskはHDDに高い負担がかかるため、chkdskを何度も繰り返すことは控えましょう。chkdskを実行したためにHDDの障害が悪化し、データを取り出せなくなる恐れがあります。chkdskの実行は自己責任で行ってください。
- Win+Rキーを同時に押しファイル名を指定して実行のウィンドウを開きます。
- cmdと入力しコマンドプロンプトを起動します。
- 「chkdsk d/f」を入力し、Enterで実行します。
- エラーチェックの結果が表示されます。
赤枠の部分が「0KB」と表示されている場合、不良セクタによる問題はありませんが、記載している画像では600GBもの領域が不良セクタになっています。これは1TBのHDDの場合だと、400GBしかデータを記録できない状態です。このようなHDDはすぐに壊れてしまうため、操作・通電を控えてください。また、いつまでもchkdskが終わらな場合、重度の物理障害が起きている可能性があります。この場合も個人での操作は控え、データが必要な場合は、専門の業者に対応を依頼しましょう。
市販の修復ソフトで不良セクタを修復する
HDDの不良セクタは市販の修復ソフトで修復できる可能性があります。ただし、経年劣化などの物理的な障害が発生しているHDDには対応できないため、データを復旧することはできません。
復旧ソフトによる修復は不完全な場合があり、文字化けやデータの一部が破損するなどのデメリットが存在します。大事なデータを保存している場合はデータ復旧専門業者に依頼することをおすすめします。
データ復旧の専門業者に相談する
ここまで、HDDの不良セクタが大量発生し、HDDが正常に動作しない場合の対処法をご紹介しました。
これまでの対処方法は、ごく「軽度の論理障害」しか対応できず、「中高度の論理障害」あるいは「経年劣化を含む物理障害」には対応できませんでした。上記の方法でも問題が解決できなかった場合、内蔵ストレージに、より深刻な障害が発生している可能性が高いです。
特にHDDの使用環境を整えても正常に動作しない、長年利用している、異音・異臭がする場合は、ご自身で対処できないほど障害が悪化してしまっているかもしれません。
HDDの中に失いたくない大切なデータがあれば、データ復旧の専門業者に相談することを強くおすすめします。データ復旧業者では、復元ソフトでは対応できない物理障害や、重度の論理障害からのデータ復元・復旧が可能です。
データ復旧業者では、PCに発生している症状を元にエンジニアによる正確な初期診断を行い、故障原因の特定が可能です。プロが対応するため、データ復旧に失敗するリスクを抑えることができます。
デジタルデータリカバリーでは、相談から初期診断・お見積りまで無料でご案内しています。まずは復旧専門のアドバイザーへ相談することをおすすめします。
この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。