HDDのSMARTエラーは、ハードディスクドライブの故障を事前に警告する重要な指標です。データ消失のリスクが高まるため、エラーが表示された場合には速やかに対応することが必要です。
本記事ではSMARTエラーの原因とその修復方法について詳しく解説していきます。なお、物理的な損傷が疑われる場合には、専門のデータ復旧業者への相談が推奨されます。
目次
SMARTエラーの原因
SMARTエラーが発生する主な原因は以下の通りです。これらの原因を把握することで、エラー発生後の対応策を適切に講じることができます。
物理的な損傷
HDD内部の物理的な損傷は、SMARTエラーの中でも特に深刻な原因の一つです。HDDは非常に精密な機器であり、ディスク表面にわずかな傷や、読み書きを行うヘッドの損傷が発生すると、データの読み書きが不可能になることがあります。
例えば、HDDが落下したり、何らかの外的な衝撃を受けると、ディスクの回転部分やヘッドが物理的に破損し、即座にアクセス不能になることがあります。
この場合、データ復旧ソフトでは対応できないため、無理な操作は行わず、速やかに専門のデータ復旧業者に相談する必要があります。また物理的な損傷は進行する可能性が高く、何度も電源を入れたり再起動を繰り返すと、データ復旧が不可能になるリスクが高まります。
当社は46万件以上の相談実績(算出期間:2011年1月1日~)を持ち、24時間365日対応しています。初期診断やお見積りは無料ですので、安心してご相談ください。
不良セクタの増加
ディスク上に存在する不良セクタは、HDDの性能に致命的な影響を与えます。不良セクタとは、データの読み書きが正常に行えなくなったディスクの領域を指します。この不良セクタが増加すると、データの一部が破損したり、最悪の場合、HDD全体が認識されなくなることがあります。
不良セクタの発生原因には、経年劣化、電源障害、そして衝撃があります。特に、HDDが長年使用されると、物理的な部品が劣化し、自然と不良セクタが増加します。また、不安定な電源供給や、突然の電源切断によっても不良セクタが発生することが多いため、こうした環境での使用は避けるべきです。
不良セクタが増加すると、最終的にはデータへのアクセスが完全に不能になる恐れがあるため、SMARTエラーが出た段階で早急にバックアップを行い、対処することが重要です。
ファームウェアの異常
HDDを制御するファームウェアは、HDD全体の動作において非常に重要な役割を果たしています。ファームウェアに何らかの異常が発生すると、SMARTエラーが発生し、HDDが正しく認識されなくなることがあります。
ファームウェアの異常は、ハードウェア自体に問題がなくても発生する場合があり、これによりHDDが動作不良を起こすことがあります。この場合、ファームウェアの更新によって問題が解消されることもありますが、異常が原因でディスクへのアクセスができなくなるケースでは、速やかにデータ復旧を試みる必要があります。
また、ファームウェア異常が進行すると、データの一部または全部が失われるリスクがあるため、事前のバックアップや適切な対応が不可欠です。
電源問題や過熱
電源の不安定な供給や過熱は、HDDに大きな負担を与え、SMARTエラーの原因となることがあります。特に、長時間にわたってHDDを稼働させたり、冷却が十分でない環境で使用すると、HDDの温度が上昇し、内部の部品が故障するリスクが高まります。
電源障害が原因でHDDが突然シャットダウンすることもあり、これが原因でディスクが壊れてしまうことも少なくありません。また、過熱によるダメージは蓄積するため、早期の対策が取られない場合、HDDの寿命を著しく縮めることになります。
このような環境でSMARTエラーが発生した場合、HDD内部の部品がすでに損傷している可能性が高いため、直ちにシステムをシャットダウンし、冷却を強化する必要があります。もしエラーが解消されない場合、損傷リスクも考慮して専門業者への相談を検討しましょう。
振動や衝撃
HDDは内部に精密なパーツを多数持っているため、外部からの振動や衝撃に非常に弱いです。例えば、ノートパソコンが落下したり、HDDが搭載されたデスクトップを強く揺さぶると、ディスクやヘッドが物理的にダメージを受ける可能性が高まります。
こうした物理的な損傷が発生すると、データの一部が読み取れなくなる、またはHDD全体が認識されなくなるケースがあります。特に、起動時に異音が発生する場合や、ディスクが回転しない場合は、すでに深刻な損傷が進行している可能性が高いです。
振動や衝撃による損傷は、データ復旧ソフトでは解決できない物理的な問題ですので、このような状態で無理にHDDを使用することは避け、専門のデータ復旧業者に相談することが必要です。
寿命による劣化
HDDは消耗品であり、使用時間や頻度が増えると、内部の部品が劣化していきます。一般的に、HDDの寿命は数年程度とされていますが、使用環境や負荷によっては、数年以内にSMARTエラーが発生することも珍しくありません。
特に、長期間使用されたHDDでは、ディスク表面の摩耗や回転部品の摩擦が原因で、徐々に不良セクタが増加し、データアクセスが困難になることがあります。また、使用期間が長いHDDほど、ファームウェアの劣化や電源供給の不安定さによって、故障のリスクが高まります。
寿命による劣化が進行すると、データの一部が既に損傷している可能性があるため、早急にバックアップを取り、新しいストレージデバイスに移行することが推奨されます。
ハードウェア障害が発生時、自己修復を試みるのはリスクが高い
ハードウェア障害が発生した場合、ソフトウェアツールや再起動では物理的な故障に対応できず、操作を続けることでデータが完全に失われるリスクが高まります。特に、ヘッドクラッシュしたHDDを無理に動かすと、プラッタが損傷し、データ復旧が困難になります。
物理障害が疑われる場合、すぐにデータ復旧の専門業者に相談することが重要です。専門業者では、クリーンルームでの作業や専用機器を用いて安全かつ迅速にデータを救出します。
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SMARTエラーに対する修復方法
SMARTエラーに直面した場合、適切な修復方法を試みることで、HDDの状態を改善できる可能性があります。以下に、具体的な修復方法を示しますが、物理的な損傷が疑われる場合は、無理な操作は避け、データ復旧業者に相談することが最善の選択です。
不良セクタの修復
不良セクタは、ディスクの特定の部分がデータの読み書きに失敗している状態を指します。不良セクタを修復するためには、Windowsの内蔵ツール「チェックディスク(CHKDSK)」を使用するのが一般的です。
このツールを使用すると、HDD上の問題をスキャンし、可能な限り修復を試みます。ただし、不良セクタが物理的な損傷であれば、修復ができない場合もあり、その際はHDDの交換を検討する必要があります。
- 「スタートメニュー」から「コマンドプロンプト(管理者として実行)」を開きます。
コマンドプロンプトは管理者権限で実行する必要があるため、「スタートメニュー」で検索後、右クリックして「管理者として実行」を選択してください。 - 「chkdsk /r C:」と入力して実行します。
「C:」はHDDのドライブ文字を表します。別のドライブをスキャンする場合は、そのドライブに応じた文字を入力します。 - 再起動後、ディスクのスキャンと修復が自動的に行われます。
再起動時にチェックディスクが自動的に実行され、不良セクタのスキャンと修復が行われます。完了まで数時間かかることもありますので余裕を持って作業を行いましょう。
温度管理と冷却
HDDは高温に弱く、過熱が原因でSMARTエラーが発生することがあります。HDDの寿命を延ばすためには、温度管理を適切に行うことが重要です。長時間の使用や高負荷作業が続くとHDDは過熱しやすく、冷却対策が必要です。ここでは、簡単にできる温度管理と冷却方法をご紹介します。
- PCケース内のホコリを定期的に除去する。
PC内部に溜まったホコリは、空気の流れを妨げ、冷却効果を低下させます。エアダスターや掃除機を使って定期的にホコリを除去することで、冷却性能が向上します。 - 追加の冷却ファンを設置する。
HDDの温度が上がりやすい場合は、冷却ファンを追加することが効果的です。ケース内部のエアフローを改善し、HDD周辺の温度を下げることができます。 - HDDの稼働環境を見直し、長時間の連続使用を避ける。
HDDは長時間の連続使用で温度が上がりやすいため、適度に休止時間を設けるか、休息モードを活用しましょう。特に夏場や熱がこもりやすい環境では注意が必要です。
ディスクデフラグの実行
HDD内のファイルが断片化するとアクセス速度が低下し、HDDの寿命が短くなり、SMARTエラーの原因になることもあります。
ファイルの断片化を解消することで、HDDのパフォーマンスを向上させ、エラーの発生を予防しましょう。
- 「スタートメニュー」から「ドライブのデフラグと最適化」を開きます。
Windowsに標準で搭載されているツールを使用します。これにより、断片化したファイルが整理されます。 - 最適化したいドライブを選び、「最適化」をクリックします。
デフラグを実行したいHDDを選択し、操作を開始します。通常、Cドライブが対象となりますが、他のドライブも同様に実行可能です。 - デフラグが完了するまで待ちます。
デフラグは数分から数時間かかる場合があります。完了後、HDDのパフォーマンスが改善され、動作がスムーズになります。
BIOSでのHDD診断
BIOSにはHDDの状態を診断するツール「BIOS診断ツール」が組み込まれていることがあり、これを利用することでHDDの状態を確認し、修理交換が必要かどうか判断できます。
- PCを再起動し、起動中に「F2」キーを押してBIOSに入ります。
PCを再起動するとすぐに「F2」キーを連打し、BIOS設定画面にアクセスします。BIOSのキーはメーカーによって異なる場合もあるので、取扱説明書を確認してください。 - 「ハードドライブテスト」を選択し、診断を開始します。
BIOS画面内の「ハードウェア診断」や「ドライブ診断」のオプションを選び、HDDのテストを実行します。 - テスト結果に応じて、修復を行うか交換を検討します。
テストの結果、HDDにエラーが見つかった場合は、バックアップを取ったうえで修理や交換を検討します。エラーが解決できない場合、専門業者の力を借りることが推奨されます。
ファームウェアの更新
HDDのファームウェアに不具合がある場合、最新のファームウェアを適用することで、不具合が解消される場合があります。HDDメーカーの公式サイトからファームウェアをダウンロードし、最新のバージョンに更新する手順を以下に示します。
- HDDメーカーの公式サイトにアクセスし、最新のファームウェアをダウンロードします。
メーカーのサポートページにアクセスし、使用しているHDDの型番に合ったファームウェアを見つけてダウンロードします。 - ファームウェア更新ツールを使用して、HDDのファームウェアを更新します。
ダウンロードしたファームウェアと更新ツールを使用して、手順に従ってファームウェアを更新します。作業中はHDDにアクセスしないようにしましょう。 - 更新が完了したら、PCを再起動して正常に動作するか確認します。
ファームウェアの更新後、PCを再起動してHDDが正常に動作していることを確認します。これで問題が解決しているかチェックしましょう。
物理的な損傷が疑われる場合の対応
SMARTエラーは、HDDの深刻な問題を示すサインであり、適切な対処を行わないとデータ消失のリスクが高まります。特に物理的な損傷が疑われる場合は、自力での修復は困難です。この場合、無理な操作は行わず、データ復旧業者に相談することを強く推奨します。
確実にデータ復旧を行う場合、データ復旧業者へ依頼する
物理的な損傷が原因でSMARTエラーが発生している場合、自力での修復は困難です。このような状況では、データ復旧業者に相談することが最善の選択です。デバイスの内部部品が破損している場合、専用の設備と技術が必要です。
SMARTエラーは、ハードウェアやソフトウェアの問題によって引き起こされることが多く、特に物理的な損傷が原因の場合は、専門的な対応が必要です。
デジタルデータリカバリーでは、経験豊富な技術者が46万件以上の相談経験(算出期間:2011年1月1日~)をもとに「初期診断」を行い、障害原因をデータベースから即座に情報を引き出し、原因を正確に特定できる体制を整えています。
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よくある質問
いえ、かかりません。当社では初期診断を無料で実施しています。お客様の機器に初期診断を行って初めて正確なデータ復旧の費用がわかりますので、故障状況を確認しお見積りをご提示するまで費用は頂いておりません。
※ご郵送で機器をお預けいただいたお客様のうち、チェック後にデータ復旧を実施しない場合のみ機器の返送費用をご負担頂いておりますのでご了承ください。
営業時間は以下の通りになっております。
土日祝日問わず、年中無休でお電話でのご相談・復旧作業・ご納品・アフターサービスを行っています。
電話受付:0:00~24:00 (24時間対応)
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復旧できる可能性がございます。
弊社では他社で復旧不可となった機器から、データ復旧に成功した実績が多数ございます。 他社大手パソコンメーカーや同業他社とのパートナー提携により、パートナー側で直せない案件を数多くご依頼いただいており、様々な症例に対する経験を積んでおりますのでまずはご相談ください。
この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。