パソコンのディスククローンを作成することで、データの移行やバックアップを簡単に行うことができます。しかし、クローンディスクが起動しない問題に直面することもあります。このようなトラブルを解決するため、クローンディスクが起動しない原因と対処法、さらにデータ復旧方法について、HDDとSSDのケース別に解説します。
目次
HDDのクローンが起動しない場合
HDDをクローンした場合に起動しない主な原因とその解決方法を確認していきましょう。
ブートセクタのエラー
クローン作成中にブートセクタ(MBRやGPT)が正しくコピーされなかった場合、OSの起動ができなくなることがあります。
ファイルシステムの不整合
古いHDDの場合、使用に伴い不良セクタが発生していることがあり、クローン作成時にエラーが起こることがあります。
BIOSの設定不一致
BIOSの設定とクローン先HDDの起動モード(レガシーまたはUEFI)が一致していない場合、起動できません。
SSDのクローンが起動しない場合
SSDにクローンを作成した場合、以下のような原因で起動に失敗することがあります。
ブート設定の不整合
クローン先のSSDのMBR/GPTの設定が適切でない場合、OSが正常に起動しません。
トリム機能の影響
SSD特有のトリム機能が、データの削除や書き込みに影響を与え、不完全なクローンが作成されることがあります。
高速起動設定
一部のマザーボードやOS設定で高速起動が有効だと、SSDへのクローンディスクが起動しない場合があります。
ドライバの互換性
特定のSSDは専用ドライバを必要とし、クローン作成後にOSが正常に起動できない場合があります。
HDDとSSDの共通の対処法
クローンディスク(HDD/SSD)が起動しない場合、通の対処法を以下に示します。
ブートセクタの修復
クローンディスクが起動しない場合、ブートセクタが正しくコピーされていない可能性があります。Windowsのインストールディスクまたは修復ディスクを使用し、「bootrec」コマンドでMBRやブートセクタを修復できます。
- WindowsインストールメディアでPCを起動します。
- 「修復」を選択し、コマンドプロンプトを開きます。
bootrec /fixmbr
とbootrec /fixboot
コマンドを実行してMBRとブートセクタを修復します。
ファイルシステムの修復
別のPCにディスクを接続し、ファイルシステムのエラーを修復することで、データが適切に読み込めるようになります。
- コマンドプロンプトで「chkdsk」コマンドを使用します。
chkdsk /f
と入力し、修復を行います。- 完了後、パソコンを再起動します。
BIOS設定の確認と修正
BIOS設定で、起動モード(レガシーまたはUEFI)を確認し、元のディスクと一致させる必要があります。起動モードが一致しないと、OSが正常に起動しないことがあります。
- パソコンの電源を入れたら、F2キーやDELキーを押してBIOSにアクセスします。
- 起動モードを確認し、必要に応じてレガシーまたはUEFIに変更します。
- 設定を保存して、パソコンを再起動します。
起動順位の確認と変更
BIOSでの起動順位が正しくないと、クローンディスクが認識されずに起動しないことがあります。クローンしたディスクを第一順位の起動ドライブとして設定しましょう。
- BIOSにアクセスし、「1st Boot Device」項目を確認します。
- クローンしたディスク(SSDまたはHDD)を第一順位に設定します。
- 設定を保存して再起動します。
ディスク全体のクローンの再確認
Cドライブだけでなく、システム予約済みパーティションや回復パーティションなども含めたディスク全体のクローンを作成する必要があります。
- クローンツールでディスク全体をコピーしているか確認します。
- 必要であれば再度クローンを作成し、すべてのパーティションを含めて正確に複製します。
- 「bcdboot」コマンドを利用して、ブート情報をクローンディスクに作成することで起動できる状態にします。
クローンディスクが起動しない場合のデータ復旧方法
クローンディスクが起動しない場合でも、以下の方法でデータを復旧できる可能性があります。
別PCで外付けドライブとしてアクセス
クローンディスクを他のPCに外付けドライブとして接続し、データを確認・復旧します。
- クローンディスクをUSBアダプターで他のPCに接続します。
- エクスプローラでディスク内容を確認し、データをコピーします。
- 必要なデータを別のディスクに保存します。
データ復旧ソフトの使用
専用のデータ復旧ソフトを利用して、クローンディスクからデータを復旧します。
- データ復旧ソフトをインストールし、クローンディスクを選択してスキャンします。
- 復旧可能なファイルが表示されたら、必要なデータを選択して保存します。
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自力で対応できない場合はデータ復旧の専門業者に相談する
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この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。