Macを使っていると、起動しないトラブルに見舞われることがあります。「起動しない」と言っても、様々な原因が考えられます。
例えば、下記のような症状がみられます。
- 何も反応がない
- 起動音が鳴るが、その後画面が真っ暗なまま
- Appleロゴや禁止マークなどが表示されたままになる
上記以外にも、様々な症状が考えられます。症状によって原因が異なるため、一概には言えませんが、上記を参考に、考えられる原因と対処法を絞り込んでいくことができます。
この記事では原因と症状にあわせた対処法を解説します。
自分で解決するのが難しい場合は、データの要不要に応じて、専門家に相談することをおすすめします。
目次
Macが起動しない・電源がつかない原因
Macが起動しない・電源がつかない原因は次の通りです。
電源関連の問題
ケーブルやアダプタが正常に動作しない場合、必要な電力が供給されずMacが起動しないことがあります。特にケーブルの断線やアダプタの故障が原因となることが多いです。
ノート型Macでは、バッテリーが放電していると電源が入らないことがあります。バッテリーの劣化や故障も起動の問題を引き起こす原因です。バッテリーの寿命は一般的に約5年ですが、頻繁な充電や高温多湿の環境での使用で短くなる可能性があります。
システム設定(SMC・PRAM/NVRAM)の問題
SMC(System Management Controller)とPRAM/NVRAMは、Macの電源やシステム設定に重要な役割を果たしています。これらに問題が発生すると、起動不具合など様々な問題が生じる可能性があります。
SMCは電源管理、バッテリー充電、ファン制御などを担当するチップで、正しく動作しないと以下のような症状が現れることがあります。
- 電源が入らない
- 突然シャットダウンする
- ファンが異常な音を立てる
- バッテリーが正常に充電されない
PRAM(Parameter RAM)とNVRAM(Non-Volatile Random-Access Memory)は、システム設定や起動ディスクに関する情報が保存されている揮発性または不揮発性のメモリです。これらの情報が破損すると、以下のような症状が現れる可能性があります。
- 起動に時間がかかる
- 起動時に「?」マークが表示される
- システム設定がリセットされる
過熱やハードウェアの故障
過熱によってMacが自動的にシャットダウンし、その後再起動できなくなることがあります。冷却システムの不具合や埃の蓄積が過熱の原因となることがあります。
また、マザーボードや電源ユニット、その他の内部コンポーネントの故障も起動不良の原因です。特に物理的な衝撃や経年劣化による部品の損傷が影響します。
システムアップデートやインストールの問題
ソフトウェアの互換性問題やレジストリの破損、Windows Updateの失敗によってシステムファイルが破損したり、設定情報が正しく書き込まれなかったりすると、起動に問題が生じることがあります。
新しいソフトウェアのインストールが既存のシステムファイルやドライバと競合し、起動時の問題を引き起こす場合もあります。特に、セキュリティソフトやデバイスドライバは競合しやすいです。
また、Macのカーネルが致命的なエラーを検出すると、Windowsのブルースクリーンに相当するカーネルパニックが発生し、システムが強制的にシャットダウンされることがあります。
ストレージの問題
ストレージの問題は大きく分けて下記2つに分けられます。
- 論理障害
- 物理障害
論理障害と物理障害は、どちらもHDDやSSDに問題が発生した際の代表的な障害ですが、その判断は非常に難しい場合があります。
論理障害はデータやファイルシステムの不具合が原因でアクセスできない状態を指し、物理障害はドライブや内部部品の故障によってデータにアクセスできなくなる状態です。しかし、初期の症状が似ているため、誤って判断すると状況を悪化させ、データ復旧がさらに困難になることがあります。
例えば、論理障害だと思って自分でソフトウェアを使用した結果、実は物理障害であったためにドライブ内部にさらに損傷を与えてしまうケースもあります。
そのため、HDDやSSDに異常が見られた場合は、専門業者の診断を受けることを強くお勧めします。専門の技術と経験により、正確に障害の種類を特定し、適切な対処法を提供することができます。
データ障害のパターン15,000種類以上もありますが、当社では経験豊富な技術者が41万件以上の相談経験(算出期間:2011年1月1日~)をもとに「初期診断」を行い、障害原因をデータベースから即座に情報を引き出し、原因を正確に特定できる体制を整えています。
最短5分で無料診断!41万件超の相談実績をもとに専門家が対応します。
対処法① Macの電源が入らない場合
- Macの電源が入らない
- 電源ボタンが反応しない
- 充電中のマークが表示されない
このような症状が発生している場合、下記の対処法を試してみましょう。
Macの電源ケーブル接続、充電を確認する
まずは電源が入るかどうかの確認をしてください。Macの電源ボタンを押して駆動音が聞こえない、CapsLockキーを押しても緑ランプが点灯しないときは、以下のポイントを確認してください。
デスクトップ型Mac(iMacやiMacPro)の場合
MacやiMacProの場合、電源の供給は電源ケーブルで行われています。そのため、まずは電源ケーブルがしっかり接続されているか・コンセントにしっかりと差し込まれているかを確認しましょう。
ノートブック型Mac(MacBookAir、MacBookPro)の場合
MacBook AirやMacBook Proなどのノート型Macでは、バッテリーが電源供給を担っています。そのため、まず充電ができているか確認しましょう。充電ケーブルを接続しても電源が供給されない場合は、ケーブルの不良が考えられます。他のMacBookでケーブルを試して、正常に動作するか確認すると確実です。
充電を確認した後でも起動しない場合は、Mac自体が故障している可能性があります。
この場合は、個人で対処せず、専門業者に相談することをお勧めします。
不要な電力を放電する
パソコン内に不要な電力が帯電しているために電源が立ち上がらないケースがあります。この場合は不要な電力を放電することで、フレッシュな状態で電源を立ち上げることができます。放電する方法は下記の通りです。
- Macのパソコン上で起動しているすべてのアプリケーションを終了します。
- Macのパソコンにつないでいるマウス、キーボード、USB、外付けHDDなど、すべての機器を外します。
- パソコン上からスリープ状態にします。
- スリープ状態を解除しMacを再起動します。
対処法② 電源は入るがOSが立ち上がらない・アイコンが表示される場合
- Macが起動途中で止まってしまう
- アップルマークや禁止マークが表示されたまま起動できない
- カーネルパニックが表示される
上記の現象が発生している場合、macOSやアプリケーション、システム設定に問題が発生している可能性があります。
この場合の対処法は次の通りです。
ただし、この対処法で対応できるのは、この対処方法を試しても正常に起動できない場合、深刻な物理障害(ハードウェアの物理的な破損)が発生している可能性が高いと考えられます。
物理的な故障が疑われる場合はむやみに操作せず、専門家に診断してもらうことで正確な原因を特定し、適切な対応を行ってもらうことをおすすめします。
システム管理コントローラ(SMC)リセットを行う
SMC(システム管理コントローラ)は、電源やバッテリー、センサーなどを管理するシステムです。電源ボタンを押しても反応しない、またはMacBookの蓋を開閉しても反応しない場合、SMCリセットで問題が解決することがあります。
ただし、SMCリセットを繰り返すとMacに負担がかかるため、必要以上に行わず、他の対処法も試しましょう。
SMCリセット方法は次の通りです。
- Macをシャットダウンします。
- 内蔵キーボードの左側にあるShiftキー、Controlキー、Optionキーを同時に押し続けます。
- 電源ボタンも同時に押し続けます。
- すべてのキーと電源ボタンを10秒間押し続けます。
- 10秒経過後、すべてのキーを放します。
- 電源ボタンを再度押して、MacBookを起動します。
- Macをシャットダウンします。
- バッテリーを取り外します。
- 電源ボタンを5秒間押し続けます。
- バッテリーを再度取り付けます。
- 電源ボタンを押して、MacBookを起動します。
- Macをシャットダウンします。
- 内蔵キーボードの左側にあるShiftキー、Controlキー、Optionキーを同時に押し続けます。
- 電源ボタンも同時に押し続けます。
- すべてのキーと電源ボタンを10秒間押し続けます。
- 10秒経過後、すべてのキーを放します。
- 電源ボタンを再度押して、MacBookを起動します。
- Macをシャットダウンします。
- バッテリーを取り外します。
- 電源ボタンを5秒間押し続けます。
- バッテリーを再度取り付けます。
- 電源ボタンを押して、MacBookを起動します。
NVRAM(PRAM)リセットを行う
MacBookやiMacが起動しない場合、有効な方法の一つがNVRAM(PRAM)のリセットです。NVRAM(PRAM)は、Macの起動に必要な情報を記憶する小容量のメモリです。通常、NVRAMリセットはあまり必要ありませんが、電源は入るが起動しない場合に試すと問題が解消することがあります。
- パソコンの電源を切ります。
- 再度、電源を入れすぐに「P」+「R」+「command」+「option」の4つのキーを同時に押し続けます。
- Macを再起動し、起動音が2回するまで、キーを押し続けます。
しかしこの方法を行っても起動できない場合は、MacBookやiMac本体が物理的に損傷している可能性が高いため、それ以上の操作を控えましょう。
もし重要なデータがMac本体に保存されている場合は、データ復旧の専門業者まで相談することをおすすめします。
起動ディスクを修復する
起動ディスクとは、パソコンが起動される時に必要なデータが保存されているディスクのことです。起動ディスクを修復することで「はてな(?)マーク」が表示されなくなり、正常に起動できる可能性があります。起動ディスクを修復する手順は以下の通りです。
- 電源ボタンを電源が切れるまで長押しします。
- 電源を入れた直後に「Command」 + 「R」ボタンを押し続けます。
- macOS復旧で、ディスクユーティリティを使って起動ディスクを修復します。
- ディスクユーティリティでエラーが見つからない、もしくは見つけたエラーを修復した場合はmacOSを再インストールします。
自力で対処法を試してもMacPCの電源が入らない場合はこちら
セーフモードで起動する
セーフモードで起動とは、最小限のシステムだけで起動することを言います。セーフモードなら起動する可能性があり、OSが正常に起動しない時にMac本体に問題があるのか、インストールしたアプリなどに問題があるのかを判断できます。
- Macの電源を落とし、その後電源ボタンを押します。
- 「shift」キーを長押しして、Appleのロゴが表示されたら指を離します。
- 起動が可能な状態であれば、しばらくしてセーフモードで起動されます。
セーフモードでの起動が確認できたら、一度電源を落とし、再度いつも通りの方法で電源を入れてみましょう。
ハードウェアテストを実行する
Mac ハードウェアテストは、Mac 内蔵のハードウェアに問題がないかどうかを確認するための診断ツールです。問題が発生している場合は、このテストを実行することで、原因を特定することができます。
セーフモードで起動できる場合は、ハードウェアテストを実行してみてください。
- Macをシャットダウンします。
- Option + D キーを押しながら電源ボタンを押します。
- Apple ロゴが表示されたら、キーを離します。
- 言語選択画面が表示されたら、使用する言語を選択します。
- テストが完了するまで待ちます。テストには約5分~30分かかる場合があります。
テストが完了すると、画面にテスト結果が表示されます。結果には、以下の項目が表示されます。 テストが不合格だった場合は、ハードウェアに問題がある可能性があります。
この場合、自力での対応は機器の破損を招く恐れがあるため、Appleサポートに相談するか、データが必要な場合はデータ復旧業者に相談することをおすすめします。
リカバリーモードで起動する(MacOSの再インストール)
リカバリーモードとは、MacOSの再インストールをしたり、HDDの修復や削除を実施するときに使用されています。Macが起動しないときは、OSやHDDが原因で起動しないケースが多いです。リカバリーモード実行前には必ずバックアップをとってから実施しましょう。
- Macの電源を完全に落とします。
- 電源オフが確認できたら電源ボタンを押し、「command」+「R」を長押しします。
- Appleのロゴマークが出たら指を離します。
- 言語選択画面が表示され、MacOSユーティリティが出れば完了です。
別の起動ディスクを使用する
- Macの電源を落とします。
- 電源ボタンを押し、「option」を長押しします。
- Appleロゴが表示されたら指を離します。
- 起動ディスクの選択画面が表示されるため、普段とは違うディスクを選択します。
Time Machineで修復する
Time MachineとはMacに組み込まれているバックアップ機能のことです。
物理的な破損などの問題がなければ、Time Machineを使用して、起動時の読み込みバーが途中で止まる、円と斜線の禁止マークが表示されて起動しないといったトラブルが解決する場合があります。
HDD(ハードディスク)やメモリの互換性を確認
新しくHDDやメモリを購入する際は、互換性を確認しましょう。HDDやメモリには規格があり、これがMacと一致していない場合、正しく起動しないことがあります。
同じ見た目のMacでも、バージョンによって対応する規格が異なる場合があるため、注意が必要です。
対処法③ 自力で解決できない/突然のシャットダウン・クラッシュが起きる場合
Macが突然シャットダウンやクラッシュを起こしたり、自力で解決できなかった場合、ハードディスク/SSD、メモリ、バッテリーなどのハードウェアに問題がある可能性があります。データを失いたくない場合、データ復旧専門業者に相談することをおすすめします。
データ復旧業者では、症状をもとに、エンジニアが正確な初期診断を行い、故障原因の特定が可能です。プロが対応するため、データ復旧に失敗するリスクを抑えることができます。
デジタルデータリカバリーでは、経験豊富なエンジニアと、累計41万件以上のご相談実績(*期間:2011年1月1日以降)から算出されたデータをもとに、他社様でデータ復旧不可能とされた機器でも、経験豊富なエンジニアが、高い精度での復旧を実現しています。
相談から初期診断・お見積りまで、無料でご案内していますので、まずは復旧専門のアドバイザーへ相談することをおすすめします。
詳しくはこちらを参照してください。
- 【2024年最新】セーフモードで起動しないMacを起動させる方法を解説
- Macが起動しない場合にアップルマークで止まってしまう原因と対処法
- 【Mac】画面が真っ暗で起動しない時の対処法を徹底解説
- 【Mac】ファイルが表示されない時の対処法を徹底解説
- 【Mac】ゴミ箱からデータを削除してしまった場合の復元方法
- Macの修理サービスとは?料金・修理期間・持ち込み可否について解説
- 【Mac】強制再起動を繰り返す原因と対処法を徹底解説
- Macがフリーズ?動かない・固まってしまったときの対処法を徹底解説
- Macが充電できない原因と対処法を専門業者が解説
- Macで起きる一般的なエラーの特徴とその対処法
- 専門業者が解説!Macが故障した際の対処法
- 【最新】Mac・iMacの電源が入らない・起動しない・立ち上がらない原因と対処法を解説
- 【復旧のプロが解説】Macが水没してしまった|注意点や対処法、データ復旧方法
この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。