HDD(ハードディスクドライブ)のブートセクタに問題が発生すると、パソコンが正常に起動しなくなり、データへのアクセスができなくなってしまいます。本記事では、HDDのブートセクタエラーの原因と具体的な対処方法について詳しく解説します。
目次
HDDブートセクタエラーの原因
まず、HDDブートセクタエラーが起きる原因について解説します。
システムファイルの破損
HDDのブートセクタが破損している場合、Windowsは起動に必要なシステムファイルを正常に読み取ることができません。ファイル破損の原因には、ソフトウェアの不具合やアップデートエラーなどがあります。
ファイルシステムエラーが発生すると、最悪の場合、データにアクセスできなくなるリスクがあります。特に、突然の電源オフやハードディスクの物理的な故障は、ファイルシステムの重要な部分を破損させ、データが完全に失われる可能性を高めます。
重要なデータが保存されている場合はデータ復旧業者に依頼することを検討してください。
ウイルス感染
一部のマルウェアはブートセクタを攻撃対象とし、感染させることでシステムの起動を妨げます。このようなウイルス感染が原因でブートセクタが破損した場合、通常のウイルススキャンでは駆除できないことが多く、専門的な対応が必要です。
HDDの物理的損傷
HDDの経年劣化や物理的なダメージが原因で、ブートセクタが破損する場合もあります。物理的な破損により、ディスクに記録されたデータが正常に読み取れなくなり、起動エラーを引き起こすことがあります。
物理的損傷の場合、復元は困難です。自力での復元が難しい場合は、データ復旧業者に相談することが最善の方法です。専門業者であれば、物理障害や深刻な論理障害に対しても対応できるため、重要なデータを安全に復元できる可能性が高まります。
デジタルデータリカバリーでは、46万件以上(算出期間:2011年1月1日〜)の豊富な相談実績を持ち、物理的な故障や重度のデータトラブルなど、さまざまなケースにおいて正確な初期診断を行い、問題の原因を迅速かつ的確に特定します。
BIOS設定の不具合
BIOSが正しいデバイスをブートシーケンスとして認識していない場合、HDDからの起動がうまくいかないことがあります。この場合、設定を調整することで解決することが可能です。
ブート構成データの問題
ブート構成データ(BCD)が破損または欠落している場合、システムは正しく起動できません。これはWindowsの再インストールやアップデートが不完全だった場合に発生することがあります。
電源異常によるファイル破損
停電やバッテリー切れなど、電源が不安定な状況でパソコンを使用していると、ファイルが突然破損する可能性があります。特にブートセクタが破損すると起動エラーが発生します。
HDDブートセクタエラーの修復方法
HDDのブートセクタにエラーが発生した場合、次の対処法を試してください。
コマンドプロンプトを使った修復
コマンドプロンプトを使い、「bootrec」コマンドを実行することでHDDのブートセクタを修復します。以下に具体的な手順を示します。
- Windowsのインストールディスクを使ってパソコンを起動し、「修復」オプションを選択します。
- 「コマンドプロンプト」を開き、以下のコマンドを順に入力します。
- bootrec /fixmbr
- bootrec /fixboot
- bootrec /rebuildbcd
これにより、MBRやBCDが修復され、ブートセクタの問題が解消する可能性があります。
アンチウイルスソフトを使った修復
ブートセクタにウイルスが感染している場合は、アンチウイルスソフトでスキャンを行い、問題を修復する必要があります。
- 別の安全なパソコンにアンチウイルスソフトをインストールし、ブート可能なUSBまたはCDを作成します。
- 対象のパソコンにUSBまたはCDを挿入し、アンチウイルスソフトの起動を試みます。
- 「ブートセクタスキャン」を選択し、ウイルス駆除を実行します。
パーティション管理ツールを使った修復
パーティション管理ツールを使用することで、HDDのMBRを再構築し、ブートセクタエラーを解消できます。
- 「AOMEI Partition Assistant」などのツールをインストールし、MBRの再構築オプションを選択します。
- 再構築するドライブを指定し、処理を開始します。
- 完了後、再起動して問題が解決しているか確認します。
チェックディスクの実行
HDDのエラー修復を行うには、「chkdsk」コマンドを使用します。このコマンドはディスクのエラーを検出し、修復する機能を持っています。
- 「コマンドプロンプト」を管理者権限で開きます。
- 「chkdsk C: /r」と入力してEnterを押します。
- ディスクの検査が開始され、エラーが修復されます。
システムファイルチェッカーの使用
「sfc /scannow」コマンドを実行することで、システムファイルの破損を修復し、ブートセクタエラーを解消することができます。
- 「コマンドプロンプト」を管理者権限で開きます。
- 「sfc /scannow」と入力してEnterを押します。
- システムファイルの検査と修復が自動的に行われます。
データが必要な場合は、データ復旧の専門業者に相談する
これまでの対処法を試しても解決しない場合、自力での修復作業は機器にさらなる負荷をかける可能性があり、データの損失リスクが高まります。
特に重要なデータが含まれている場合は、データ復旧の専門家に相談することが最も安全で確実な方法です。データ復旧業者では、機器に発生している症状をもとにエンジニアが正確な初期診断を行い、故障原因を特定することが可能です。プロが対応するため、データ復旧に失敗するリスクを抑えることができます。
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この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。