HDDのプラッタは、データを直接保存する非常に重要な部品です。しかし、このプラッタに問題が発生すると、保存されたデータが失われる可能性が高く、適切な対処が急務となります。
この記事では、HDDのプラッタ交換に関する誤解や、問題発生時の適切な対応方法について詳しく解説します。
目次
HDDプラッタの故障の原因
HDDプラッタが故障する原因は多岐にわたります。以下に、主な原因を挙げます。
物理的な衝撃
プラッタは非常に繊細な部品であり、HDDが落下するなどの衝撃が加わると表面に傷がつく可能性があります。これにより、プラッタ上のデータが破損するリスクが高まります。
摩耗や経年劣化
長期間使用されたHDDでは、プラッタ表面が摩耗し、記録されたデータが読み取りにくくなることがあります。経年劣化は避けられませんが、適切なバックアップが重要です。
異常な熱暴走
HDD内部の温度が高くなると、プラッタの材質に悪影響を及ぼし、故障を引き起こす場合があります。熱暴走は通風不足や故障した冷却ファンによって引き起こされることが一般的です。
磁気不良や消磁
プラッタの表面は磁気でデータを記録しています。磁気の不良や外部の強い磁場による消磁は、データを失う原因となります。
製造時の不良
製造工程での欠陥が原因で、使用開始から短期間でプラッタが故障することがあります。この場合、保証期間内であればメーカーに相談するのが一般的です。
液体や湿気による損傷
液体の侵入や湿気が原因でプラッタが腐食し、データが失われることがあります。特に水没したHDDは高い確率でプラッタが損傷を受けます。
HDDプラッタ故障の対処法
HDDプラッタが故障した場合の対処法は以下の通りです。各項目ごとに具体的な手順を示します。
通電を避ける
HDDの通電を続けることで、故障した部品がさらに損傷し、復旧が難しくなる場合があります。以下の手順を参考にしてください。
- パソコンの電源をすぐに切る。
- HDDをパソコンやストレージデバイスから慎重に取り外す。
- HDDを静かな場所に保管し、振動や衝撃を避ける。
- 復旧作業を始める前に専門的な準備を行う。
必要に応じてヘッド交換を行う
プラッタ自体が損傷していない場合は、読み取りヘッドの交換で復旧できる可能性があります。ヘッド交換を行う際の基本的な流れを以下に示します。
- 故障したHDDのモデル情報を確認する。
- 同型のドナーHDD（交換用のヘッドを提供するHDD）を準備する。
- クリーンルーム環境を整える。
- 専用ツールを使用して故障したヘッドを取り外し、新しいヘッドを正確に装着する。
- 作業後、HDDをテストしてデータが正常に読み取れるか確認する。
クリーンルームでの作業を行う
クリーンルームではほこりや微粒子が一切入らない環境下で精密作業が行われます。この環境下で作業を行うことで、データの安全性が保証されます。
- クリーンルームを準備する（HEPAフィルター付きのエンクロージャーが推奨されます）。
- HDDを分解し、プラッタやヘッドにアクセスする。
- ほこりがつかないよう、静電気防止装備を使用して作業を進める。
- 必要に応じて部品を交換し、再組み立てを行う。
- データの復元を試み、正常にアクセスできるかテストする。
作業環境がない場合は個人での復旧は避ける
クリーンルームなどの清潔な作業環境を確保できない場合は、HDDを自分で分解したり、復旧ソフトを使用したりすることは避けてください。これにより損傷が広がる可能性があります。
- HDDを分解しないでください。内部部品に触れると回復不能な損傷を引き起こす恐れがあります。
- 復旧ソフトの利用を避けてください。論理障害であれば有効な場合もありますが、物理障害では逆効果です。
- 異音や異常な動作がある場合、さらに操作せず慎重に対応してください。
自力で対応できない場合はデータ復旧の専門業者に相談する
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この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。
