HDD(ハードディスクドライブ)は、データを磁気ディスクに保存するための記憶装置です。しかし、HDDは非常に精密な構造を持つため、衝撃によって簡単にデータが破損するリスクがあります。突然の落下や振動など、わずかな衝撃でもHDDに深刻なダメージを与えることがあります。
この記事では、HDDが衝撃を受けることでデータ破損が発生する原因と具体的な対処法を解説します。もしも重要なデータが失われてしまった場合、適切な対処を行うことでデータを取り戻せる可能性があります。ぜひ最後までお読みください。
目次
HDDが衝撃でデータ破損を起こす原因
HDDの衝撃によるデータ破損の原因を理解することは、トラブルを未然に防ぐために非常に重要です。以下に、衝撃によってHDDが故障する代表的な原因を説明します。
ヘッドクラッシュ
ヘッドクラッシュとは、HDD内部の磁気ヘッドが、回転するプラッタ(磁気ディスク)に直接接触してしまう現象です。通常、ヘッドとプラッタの間にはわずかな隙間(約数ナノメートル)しかなく、プラッタの表面に触れることはありません。しかし、HDDが衝撃を受けるとこのバランスが崩れ、ヘッドがプラッタに衝突します。
ヘッドクラッシュが発生すると、プラッタ表面の磁性体層が傷つき、その部分に保存されていたデータが完全に失われます。さらに、傷が広がると、その部分だけでなく周辺のトラックに保存されているデータにもアクセスできなくなる可能性があります。ヘッドクラッシュは非常に深刻な物理障害であり、HDD全体が使用不能になるケースも少なくありません。
ヘッドクラッシュの詳しい原因や対処法は以下の記事で紹介しているので、ぜひ参考にしてみてください。
プラッタの損傷
プラッタは、HDD内部でデータを保存する磁気ディスクです。強い衝撃を受けると、プラッタが変形したり、表面の磁性層が剥がれることがあります。特に高回転で動作中のHDDに衝撃が加わると、回転のバランスが崩れ、プラッタ同士が擦れたり、プラッタが破損するリスクが高まります。
また、物理的な破損がなくても、表面に細かい傷がつくだけでデータにアクセスできなくなることがあります。これは、HDDがデータを読み取る際に、プラッタ上のトラックを正確に追跡する必要があるためです。プラッタの損傷はHDDの物理障害の中でも特に復旧が難しく、精密な処置が必要になります。
ヘッドの位置ずれ
HDDのヘッドは、プラッタ上の特定の位置を正確に移動し、そこに保存されているデータを読み書きします。しかし、衝撃や振動によって、ヘッドのアライメント(整列)が崩れることがあります。この状態を「ヘッドの位置ずれ」と呼びます。
位置ずれが発生すると、ヘッドは本来読み書きするべきトラックにアクセスできなくなり、読み取りエラーやデータ破損が起こります。さらに位置ずれが進行すると、HDDが「未フォーマット」と認識され、使用できなくなることもあります。
モーターやベアリングの損傷
HDD内部のプラッタは、モーターによって高速回転します。このモーターと、それを支えるベアリングは非常に精密な構造になっており、衝撃でモーターの軸がずれたり、ベアリングが破損することがあります。
モーターやベアリングが損傷すると、プラッタの回転が不安定になり、読み書き時にデータのズレやエラーが発生します。場合によっては、HDDがまったく動かなくなることもあります。ベアリングの劣化が進行すると、異音(ガリガリ音)を伴うことが多く、この段階での使用はデータをさらに危険にさらします。
その他の物理的障害
HDDは、0.01μmの精度で制御される非常に繊細な装置です。そのため、衝撃や振動によって構造全体のバランスが崩れやすい特徴を持っています。たとえば、HDDが稼働中に急な衝撃を受けた場合、内部の機械部品が噛み合わなくなり、HDDが完全に停止することがあります。
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HDDが衝撃で破損した場合の対処法
HDDが衝撃を受けた際に、異常が発生した場合は、すぐに適切な対応を行うことが重要です。ここでは、衝撃によるHDDのトラブルに対応するための具体的な手順を紹介します。これらの対処法を実践することで、データのさらなる損失を防ぎ、復旧の可能性を高められます。
電源を切る手順
HDDに異常を感じた場合、まず電源を切ってHDDへの負荷を軽減することが大切です。使用を続けると、損傷が拡大し、データが完全に失われるリスクが高まります。次の手順で、安全に電源を切りましょう。
- すべてのアプリケーションを終了します。
- 「スタートメニュー」から「シャットダウン」を選択します。
- PCの電源が完全に切れたことを確認します。
データ復旧ソフト使用の手順
HDDの論理障害の場合、市販のデータ復旧ソフトを使ってデータを取り戻せる可能性があります。ただし、物理的な損傷が疑われる場合は、この方法を避け、専門業者に相談するのが安全です。
- 復旧ソフトをPCにインストールします。
- HDDをPCに接続し、ソフトを起動します。
- スキャンを実行し、復旧可能なデータを確認します。
- 必要なファイルを選択し、安全な場所に保存します。
HDD取り外しの手順
HDDを他のPCや外付けケースに接続して問題を確認するには、まずHDDを正しく取り外す必要があります。不適切な取り外しは、さらなる損傷を引き起こす可能性があるため、次の手順に従いましょう。
- PCの電源を切り、電源ケーブルを抜きます。
- PCケースを開き、HDDの接続ケーブルを外します。
- 固定ネジを取り外し、HDDを慎重に取り出します。
専門業者に依頼する手順
HDDが物理的に損傷している場合、自力での復旧は困難です。この場合、データ復旧の専門業者に依頼することが最も確実な対応となります。以下の手順に従って、復旧業者に依頼しましょう。
- 業者のWebサイトや電話で相談し、状況を伝えます。
- 初期診断と見積もりを受け取り、作業に同意します。
- HDDを発送するか、直接持ち込みます。
- 復旧が完了した後、データを確認し、安全な媒体に移行します。
バックアップを実施する手順
日頃からバックアップを行うことは、データの損失を防ぐ最善策です。以下の手順を参考に、バックアップの設定を行いましょう。
- バックアップ先として外付けHDDやクラウドストレージを準備します。
- PCの「設定」から「バックアップ」を選択します。
- バックアップするフォルダやファイルを指定します。
- 定期的なバックアップスケジュールを設定します。
- バックアップが完了したことを確認します。
HDDの安全な取り扱い環境を整える手順
HDDを長期間安全に使用するためには、設置環境や日常的なメンテナンスが重要です。以下の手順を参考に、安全な取り扱い環境を整えましょう。
- HDDを振動の少ない水平な場所に設置します。
- 移動時には防振ケースを使用し、電源を切ります。
- 温度変化を防ぐため、通気性の良い場所で使用します。
- 定期的にホコリを除去し、内部への異物混入を防ぎます。
- 使用しないHDDは専用のケースで保管します。
重要なデータが入っている場合は専門家に相談を
HDD、ブルーレイレコーダー・ディスクの中に失いたくない大切なデータがあれば、データ復旧の専門業者に相談することを強くおすすめします。データ復旧業者では、復元ソフトでは対応できない物理障害や、重度の論理障害からのデータ復元・復旧が可能です。
国内にデータ復旧業者は100社以上存在しますが、デジタルデータリカバリーでは、過去46万件以上のご相談実績から算出されるデータベースをもとに、一般的なデータ復旧業者では復旧できない症状でも対応可能です。機器や症状ごとに配置された70名以上の専門のエンジニアが、最先端設備と技術力を駆使し、高難易度の症状でも復旧作業を行います。
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よくある質問
いえ、かかりません。当社では初期診断を無料で実施しています。お客様の機器に初期診断を行って初めて正確なデータ復旧の費用がわかりますので、故障状況を確認しお見積りをご提示するまで費用は頂いておりません。
※ご郵送で機器をお預けいただいたお客様のうち、チェック後にデータ復旧を実施しない場合のみ機器の返送費用をご負担頂いておりますのでご了承ください。
営業時間は以下の通りになっております。
土日祝日問わず、年中無休でお電話でのご相談・復旧作業・ご納品・アフターサービスを行っています。
電話受付:0:00~24:00 (24時間対応)
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復旧できる可能性がございます。
弊社では他社で復旧不可となった機器から、データ復旧に成功した実績が多数ございます。 他社大手パソコンメーカーや同業他社とのパートナー提携により、パートナー側で直せない案件を数多くご依頼いただいており、様々な症例に対する経験を積んでおりますのでまずはご相談ください。
この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。