RAIDシステムは、データの冗長性やパフォーマンスを向上させるために、多くの企業や個人ユーザーに利用されています。しかし、どれだけ信頼性の高いRAIDシステムでも、構成異常が発生する可能性はゼロではありません。

RAID構成異常が発生すると、データ消失のリスクが大きくなり、特にバックアップがない場合は深刻な事態に陥ることがあります。

本記事では、RAID構成異常が発生する主な原因と対処法について詳しく解説します。

RAID構成異常が発生する原因

RAIDシステムの構成異常が発生する理由は、主にハードウェアの問題やソフトウェアの不具合、操作ミス、環境要因に分類されます。これらの要因を理解することで、異常発生を未然に防ぎ、異常発生時には適切に対処することが可能です。

HDDの物理的な故障

RAIDシステムの核となるHDDは、消耗品であり、時間の経過とともに劣化します。

特に、RAIDに組み込まれている複数のHDDが同じ時期に製造されている場合、1台が故障すると他のHDDも連鎖的に故障するリスクがあります。HDDの物理的な故障には、プラッタの摩耗、磁気ヘッドの損傷、不良セクタの発生などが含まれます。

RAIDコントローラの故障

RAIDコントローラは、RAIDシステムの中枢を担っており、各ディスクの読み書きやパリティ計算などの制御を行っています。RAIDコントローラが故障すると、RAID構成が正しく動作しなくなり、データアクセスができなくなることがあります。コントローラのハードウェア的な故障や、ファームウェアの不具合が原因となることが多いです。

リビルド中の障害

RAID構成において、ディスクの交換や修復作業中に行われるリビルドは、非常に負荷のかかるプロセスです。リビルド中に他のディスクに障害が発生したり、作業が中断されると、RAID全体が崩壊する可能性があります。また、リビルドに失敗した場合、データの整合性が失われ、アクセス不能になることがあります。

管理画面での操作ミス

RAID構成は高度な技術を必要とするため、管理画面での操作ミスが起こりやすいです。RAID設定を誤って変更したり、誤ってディスクを初期化するなどの操作ミスによって、データが失われることがあります。特に、ディスクの順番やパリティ情報を誤って操作すると、リビルドが正しく行われず、深刻なデータ損失を招く可能性があります。

電源障害や停電

突然の停電や電源の瞬断は、RAID構成に深刻なダメージを与えることがあります。特に、リビルド中や書き込み処理中に電源が断たれると、データが中途半端な状態で保存されるため、データの一部が破損する可能性が高まります。これにより、RAID全体が動作不能に陥ることもあります。

環境要因（高温、振動、湿度など）

RAIDシステムが設置されている環境も、異常発生の大きな要因です。サーバールームの温度が高すぎる場合、HDDが過熱し、寿命を縮めることがあります。また、振動や衝撃、湿度の高い環境も、HDDやRAIDコントローラに悪影響を与える可能性があります。特に、長時間にわたる高温環境下では、HDDの動作が不安定になり、故障が発生しやすくなります。

RAID構成異常の対処法

RAID構成異常が発生した場合、迅速かつ適切に対処することが重要です。誤った対処をすると、データ損失のリスクがさらに高まるため、以下の対処法を慎重に実施してください。

RAID構成異常が発生する原因はさまざまですが、原因に応じた適切な対処を行うことで、データ損失のリスクを最小限に抑えることが可能です。特に、物理的な障害やRAIDコントローラの問題、リビルド中のトラブルなど、原因に応じた対策を講じることが重要です。深刻な障害が発生した場合は、速やかに専門業者に相談することを強くお勧めします。

システムの電源を切り、再起動しない

RAID構成異常が発生した場合、最初にすべきことはシステムの電源を切り、再起動しないことです。再起動すると、障害がさらに悪化し、データの復旧が難しくなる可能性があります。電源を切った後は、システムの状態を冷静に確認し、次のステップに進みましょう。

HDDの状態を確認し、必要に応じて交換する

RAID構成異常の原因がHDDの故障である場合、最優先でHDDの状態を確認しましょう。各HDDのSMART情報を確認し、不良セクタが発生しているディスクがあれば速やかに交換する必要があります。交換後はリビルドが必要になりますが、リビルドを行う際は慎重に進め、他のディスクに負担をかけすぎないよう注意してください。

RAIDコントローラの状態を確認・修復する

RAID構成異常がRAIDコントローラに起因している場合、コントローラの状態を確認し、修復する必要があります。RAIDコントローラは、システムのディスクアクセスを制御する重要な役割を持っているため、ここに問題があると、リビルドやデータ復旧が困難になります。

データ復旧ソフトを使用する

RAID構成異常が論理的な問題に起因している場合、データ復旧ソフトを使用して、データを復元することが可能です。これらのソフトウェアは、ファイルシステムの修復や、RAIDの再構成によって失われたデータを復元するのに役立ちます。しかし、物理的な障害がある場合は、ソフトウェアだけでの修復は困難です。

専門のデータ復旧業者に依頼する

RAID構成異常が発生し、物理的な障害や深刻なファイルシステムの破損が疑われる場合は、自力での対応は困難です。こういったケースでは、データ復旧の専門業者に依頼することが最善の選択です。専門業者は、高度な技術を駆使して物理障害にも対応し、データを安全に復旧することができます。

定期的なバックアップの重要性を理解する

RAIDシステムは冗長性を提供しますが、それでもデータ損失を完全に防ぐことはできません。RAID構成異常が発生した場合に備えて、定期的なバックアップを行うことが非常に重要です。バックアップをしておくことで、RAID構成異常が発生しても、重要なデータをすぐに復旧することができます。

自力で解決できない場合は「データ復旧専門業者」に相談・依頼する

NASやサーバー（特にRAID構成機器）で物理的な障害や高度な論理障害が発生した場合、下記の理由から自力での対応が難しいとされています。

• RAIDの構造が非常に複雑
• 物理障害には専用の設備や専門技術が必要
• 論理障害が起こった場合でも、市販のソフトでは対応できないことが多い

また、誤った操作や処置を行うと、復旧できたはずのデータを完全に失うリスクもあるため、専門のデータ復旧業者への依頼が推奨されます。

業者選びのポイントは以下の通りです。

• 豊富な実績と高い復旧率: 実績豊富な業者は安心感があります。
• 最新の復旧設備を保有: クリーンルームなど最新設備を持つ業者が信頼できます。
• セキュリティへの配慮: ISO認証を取得し、安全を保証している業者を選びましょう。
• 透明性のある料金体系: 無料診断や成果報酬型の業者は安心です。
• 全RAIDレベルに対応: RAID0からRAID6まで対応できる技術力を持つ業者が重要です。

市販のソフトでは回復できない物理障害は、むやみに操作せず、専門業者への早急な相談を推奨します。

当社は累積46万件超のご相談実績（期間：2011年1月1日～）を持ち、RAID全レベルに対応可能な専門エンジニアが迅速にサポートいたします。他社で診断不可のNASやサーバの復旧実績も多数あり、トラブル状況をお知らせいただければ、安全にデータを取り出すお手伝いをさせていただきます。

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