RAID(Redundant Array of Independent Disks)は、複数のディスクを組み合わせてデータの冗長性やアクセス速度を向上させる技術です。しかし、RAIDはバックアップの代替ではなく、別途バックアップが不可欠です。
本記事では、RAIDの仕組みとリスク、正しいバックアップ方法について解説します。
目次
RAIDの役割とその限界
RAIDは主に以下の目的で使用され、バックアップとは異なる役割を持っています。
- データの冗長性向上: ディスク障害時にもシステムを稼働させるための冗長構成。
- 読み書き性能の向上: データの分散処理による高速化。
- ストレージ容量の拡張: 複数のディスクをまとめて大容量化。
これらの目的から、RAIDはシステムの稼働を維持するために設計されていますが、バックアップとは異なる概念であることを理解しておく必要があります。
RAIDを使用していても、データの安全が保証されるわけではなく、誤ってデータを削除したり、システム全体に障害が発生した場合にデータを失うリスクがあります。
RAIDのリスクと脆弱性
RAIDは確かに便利な技術ですが、いくつかのリスクや脆弱性があります。これらを理解することで、RAIDの限界を知り、適切なデータ保護対策を取ることができます。
リビルドの危険性
ディスク交換後にリビルド(再構築)を行う際には、残りのディスクに高負荷がかかります。リビルド中に別のディスクが故障することで、すべてのデータが失われるリスクがあります。
論理障害への脆弱性
RAIDは物理的な故障には強いですが、論理障害(ファイルシステムの破損や誤削除、ウイルス感染など)には無力です。論理的な問題が発生すると、RAIDの冗長性に頼ってもデータを復元できない可能性があります。
運用上のリスク
RAIDは適切な運用管理が必要です。不適切なディスクの抜き差しや停電、突然の電源切断により、RAID構成が破損し、データ損失につながる恐れがあります。
複数ディスク故障のリスク
RAIDは、同じ環境で稼働するディスクを複数使用するため、一台のディスクが故障すると他のディスクも続いて故障する可能性が高まります。特に、同時期に購入したディスクや同じ使用環境のディスクは、寿命が一致しやすいためリスクが高くなります。
特に、ヘッドクラッシュやモーターの不調、磁気面の劣化など、物理的な破損は自力での修復が非常に難しく、データ復旧には専門的な設備が必要です。
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RAIDではなくバックアップが必要な理由
バックアップの効果を高めるためには、「3-2-1ルール」の実践が推奨されます。これは以下のような内容です。
3つ以上のコピーを作成する
データの冗長性を持たせるために、必ず3つ以上のバックアップコピーを保持します。これにより、1つのバックアップが破損したり、失われた場合でも、他のコピーからデータを復元することが可能です。
2種類以上の異なるメディアを使用する
バックアップデータを異なるメディア(例えば、外付けHDDやクラウドストレージなど)に保存することで、特定のメディアが故障した場合のリスクを軽減します。メディアの多様性により、物理的な破損やシステム障害からデータを守ることができます。
1つは異なる場所に保管する
バックアップの1つはオフサイトに保管することで、自然災害や火災、盗難などのリスクからデータを守ります。物理的な距離を保つことで、同時に複数のバックアップが損失する可能性を低減します。
この「3-2-1ルール」を実践することで、バックアップの信頼性が向上し、データ損失からの復旧能力が大幅に強化されます。RAIDのようなシステムによる可用性向上だけでなく、過去のデータを確実に保護するためには、バックアップが不可欠です。
RAID使用時の注意点
RAIDを利用する際には、適切な管理とリスク認識が求められます。以下のポイントに留意して、データ保護を強化しましょう。
RAIDの限界を理解する
RAIDはデータ可用性向上の手段ですが、バックアップの代替ではありません。論理障害や複数ディスク故障には対応できないため、別途バックアップが必須です。
定期的な別媒体へのバックアップ
RAID環境でも、定期的に別媒体へバックアップを取り、論理障害やシステム全体への影響に備えましょう。
リビルド時の専門家相談
ディスク故障時のリビルドは負荷が高く、別の故障リスクも伴います。リビルド作業は安易に行わず、専門家のアドバイスを受けると安全です。
ディスクの単体接続を避ける
RAID構成のディスクを単体で接続すると、RAID構成が崩れデータが破損する可能性があります。RAIDディスクは決して単体で接続しないようにしましょう。
用途に応じたRAIDレベルの選択
RAIDにはRAID 0、RAID 1、RAID 5、RAID 6などの異なるレベルがあります。用途に応じて適切なRAIDレベルを選択し、冗長性とパフォーマンスのバランスを考慮することが重要です。
RAIDは便利な技術ですが、その限界を理解し、別途バックアップを行うことがデータ保護には欠かせません。データの重要性に応じて総合的な保護対策を講じましょう。
自力で解決できない/確実にデータを取り出す場合は「データ復旧専門業者」に相談・依頼する
NASやサーバー(特にRAID構成機器)で物理的な障害や高度な論理障害が発生した場合、下記の理由から自力での対応が難しいとされています。
- RAIDの構造が非常に複雑
- 物理障害には専用の設備や専門技術が必要
- 論理障害が起こった場合でも、市販のソフトでは対応できないことが多い
また、誤った操作や処置を行うと、復旧できたはずのデータを完全に失うリスクもあるため、専門のデータ復旧業者への依頼が推奨されます。
業者選びのポイントは以下の通りです。
- 豊富な実績と高い復旧率: 実績豊富な業者は安心感があります。
- 最新の復旧設備を保有: クリーンルームなど最新設備を持つ業者が信頼できます。
- セキュリティへの配慮: ISO認証を取得し、安全を保証している業者を選びましょう。
- 透明性のある料金体系: 無料診断や成果報酬型の業者は安心です。
- 全RAIDレベルに対応: RAID0からRAID6まで対応できる技術力を持つ業者が重要です。
市販のソフトでは回復できない物理障害は、むやみに操作せず、専門業者への早急な相談を推奨します。
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よくある質問
いえ、かかりません。当社では初期診断を無料で実施しています。お客様の機器に初期診断を行って初めて正確なデータ復旧の費用がわかりますので、故障状況を確認しお見積りをご提示するまで費用は頂いておりません。
※ご郵送で機器をお預けいただいたお客様のうち、チェック後にデータ復旧を実施しない場合のみ機器の返送費用をご負担頂いておりますのでご了承ください。
営業時間は以下の通りになっております。
土日祝日問わず、年中無休でお電話でのご相談・復旧作業・ご納品・アフターサービスを行っています。
電話受付:0:00~24:00 (24時間対応)
来社受付:9:30~21:00
復旧できる可能性がございます。
弊社では他社で復旧不可となった機器から、データ復旧に成功した実績が多数ございます。 他社大手パソコンメーカーや同業他社とのパートナー提携により、パートナー側で直せない案件を数多くご依頼いただいており、様々な症例に対する経験を積んでおりますのでまずはご相談ください。
この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。