データ復旧ツールは、誤削除やディスクのクラッシュ、フォーマットミス、物理的な損傷など、さまざまな状況で失われたデータを取り戻すための強力なサポートを提供します。
特に、状況やデバイスに応じて最適なツールを選ぶことが重要です。ここでは、代表的なツールをその特徴を詳しく解説します。
目次
削除ファイルやフォーマットされたドライブの復元を重視する場合
一般的な意味合いでの「削除データの復元」に適したソフトウェアは次の通りです。
Recuva
Recuvaは、Windows向けの軽量で使いやすいデータ復旧ツールです。削除されたファイルを迅速に復元する能力があり、特にFAT32やNTFSフォーマットに対応しています。
例えばRecuvaは下記のシチュエーションに適しています。
- 誤って削除したファイルを復元したい場合(ごみ箱から完全削除してしまった場合も対応)。
- フォーマットされたドライブからデータを取り戻したい場合。
- 外付けHDDやUSBメモリなどのポータブルデバイスのデータ復旧。
ファイルの完全消去が実施された場合でも、深層スキャン機能を活用して復旧できる場合があります。無料版で基本機能を試せますが、高度な機能(仮想ハードディスクのサポートなど)は有料版で提供されています。
Recuvaの使用手順は次の通りです。
- 公式サイトからRecuvaをダウンロードしてインストールします。
- ソフトを起動するとウィザード形式の操作画面が表示されます。
- 復元したいファイルの種類(画像、動画、ドキュメントなど)を選択し、次へ進みます。
- ファイルの場所(指定フォルダ、ドライブ全体など)を選択します。
- 「深層スキャンを有効にする」を選択すると、より詳細なスキャンが可能です。
- スキャン後、復元可能なファイルの一覧が表示されます。緑色で表示されたファイルは復元可能性が高いです。
- 復元したいファイルを選択し、保存先を指定して「復元」ボタンを押します。
- 復元が完了したら、指定したフォルダでファイルが正しく復元されていることを確認します。
PhotoRec
PhotoRecは、ディスクの物理的なセクター単位でファイルを復元する、オープンソースの高機能ツールです。削除されたファイルをファイルシステムに依存せず復元するため、破損したファイルシステムやフォーマット済みのディスクでも効果的です。
画像や動画、文書など、約480以上のファイル形式に対応しています。
例えばPhotoRecは下記のシチュエーションに適しています。
- 削除やフォーマットによって失われた写真や動画を復元。
- システム障害や物理的エラーでアクセスできないディスクのデータ復元。
- 高度な復旧が必要な上級者向け。
PhotoRecの使用手順は次の通りです。
- 公式サイトからPhotoRecをダウンロードして解凍します(TestDiskと一緒に提供されます)。
- ターミナルまたはコマンドプロンプトを開き、`photorec`を実行します。
- 復元対象のディスクを矢印キーで選択し、Enterキーを押します。
- ファイルシステムの種類(FAT/NTFS/extなど)を選択します。
- スキャンする範囲を指定します(全ディスクまたは特定パーティション)。
- 復元データの保存先を指定します(元のディスク以外を推奨)。
- スキャンを開始すると、復元可能なファイルが指定フォルダに保存されます。
- 復元が完了したら、保存フォルダを確認してデータを確認します。
Disk Drill
Disk Drillは、macOSおよびWindowsで使用可能なデータ復旧ツールで、削除ファイルやフォーマットされたドライブの復元に特化しています。直感的な操作で初心者にも使いやすい設計です。
Disk Drillの使用手順は下記の通りです。
- 公式サイトからDisk Drillをダウンロードしてインストールします。
- アプリを起動し、復旧したいディスクを選択します。
- 「クイックスキャン」または「ディープスキャン」を選択し、スキャンを開始します。
- スキャン後、復元可能なファイル一覧が表示されるので、必要なファイルを選択します。
- 「復元」ボタンをクリックして、安全な保存先にファイルを保存します。
データ復元ソフトで対応できない場合
データ復元ソフトは、削除されたデータやフォーマット後のデータを検出するために、ストレージ内のファイルシステムやセクタ情報を解析します。
しかし、以下のようなケースではソフトウェアでは対応できないことがあります。
- データの上書きが発生した場合
削除されたデータが新しいデータによって上書きされると、元のデータは物理的に失われます。これは、ストレージ上の空き領域が新たなデータで埋められる仕組みによるものです。 - 物理障害が発生している場合
ハードディスク(HDD)のヘッドクラッシュや、SSDのメモリセル破損など、物理的な損傷があると、データ復元ソフトではディスクにアクセスすらできません。 - ファイルシステムの深刻な破損
ファイルシステムそのものが破損し、データ構造が失われている場合、復元ソフトでは復旧が困難です。この場合、専門的な機器を用いた直接的なデータ抽出が必要になります。
データ復元ソフトで失敗した場合の適切な対応
データ復元が困難である場合、以下の手順を守ることが重要です。
- 操作をすぐに中止する
データが上書きされるリスクを回避するため、ストレージへの書き込みを伴う操作を一切行わないようにします。 - ストレージを取り外す
ストレージ(HDD、SSD、USBメモリなど)を安全に取り外し、さらなる損傷を防ぎます。 - 専門業者に相談する
データ復旧業者は、クリーンルームや専用機材を用いて物理障害や上書きの一部が発生した場合でも、特殊な技術でデータを取り戻すことが可能です。また、初期診断を無料で行う業者も多いため、復旧可能性を確認できます。
データ復元ソフトは便利ですが、上書きや物理障害が発生した場合には対応できません。誤った操作を続けると、さらに復旧の難易度が高まるリスクがあります。
そのため、ソフトでの復旧が難しい場合は、操作を控え、すぐにデータ復旧業者に相談することをお勧めします。大切なデータを取り戻すためにも、専門家の力を借りることが最善の選択肢です。
当社は、46万件以上の相談実績(算出期間:2011年1月1日~)を持ち、経験豊富な専門アドバイザーが対応しています。
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ディスクの修復とデータ保全を重視する場合
システムエラーやファイルシステムの破損は、データ復旧の障壁となることがあります。このような場合、ディスク修復を通じてデータを保全するツールが効果的です。
CHKDSK
CHKDSKはWindows標準のツールで、ディスクの不良セクターやファイルシステムのエラーを検出・修正します。たとえば、突然アクセスできなくなったドライブの問題を特定する際に便利です。
- 「スタート」メニューから「コマンドプロンプト」を管理者権限で開きます。
- `chkdsk X: /f`(Xはドライブレター)と入力しEnterを押します。
- 「ドライブ使用中」と表示された場合は「Y」を入力して再起動後に実行します。
- 再起動後、自動的にスキャンと修復が行われます。
- 結果を確認して修復が完了したことを確認します。
ディスクユーティリティ(macOS)
macOSユーザーにとって、ディスクユーティリティは簡単で効果的な選択肢です。GUIベースの操作が可能で、初心者にも使いやすい設計となっています。
- 「アプリケーション」>「ユーティリティ」フォルダ内の「ディスクユーティリティ」を開きます。
- 修復対象のドライブをサイドバーから選択します。
- 「First Aid」をクリックして、ディスクを診断・修復します。
- 修復完了後に結果を確認し、必要であれば再フォーマットを実行します。
Linuxユーザー向けのディスク修復ツール
LinuxやUNIX系環境では、ファイルシステムの整合性を保つためのツールが欠かせません。
fsck
fsckはLinux標準のコマンドで、ファイルシステムのエラーを修正します。たとえば、異常終了後にマウントできないドライブを修復する際に利用されます。
- `sudo umount /dev/sdX`を実行して対象ディスクをアンマウントします。
- `sudo fsck /dev/sdX`でチェックを開始します。
- エラーが検出された場合、「y」を入力して修正を許可します。
- 修復完了後、`sudo mount /dev/sdX`で再マウントします。
- ディスクが正常に動作することを確認します。
SystemRescue
SystemRescueは、Linuxベースのライブディストリビューションで、システム修復とデータ復旧に特化しています。Arch Linuxベースで、GUIとCLIの両方に対応しています。
- 公式サイトからSystemRescueのISOファイルをダウンロードします。
- USBメモリにISOを作成し、復旧したいPCでUSB起動を設定します。
- 起動後、GUIまたはターミナルからfsckやTestDiskを使用してディスクを修復します。
- ファイルの回復が必要な場合は、ディスクをマウントしてデータを外部ストレージにコピーします。
- 修復が完了したらPCを再起動し、復元結果を確認します。
パーティション管理と修復
誤って削除されたパーティションや、フォーマット時のエラーを修復する場合には、専門的なツールが役立ちます。
GParted
GPartedはGUIベースのツールで、LinuxやWindowsでのパーティション管理に活用されます。ライブディスクとして利用することで、どの環境でも安全に作業を行えます。
- 公式サイトからGParted LiveのISOをダウンロードし、USBまたはCDに書き込みます。
- 復旧対象のPCでUSBまたはCDから起動します。
- パーティションを選択し、「チェック」機能を利用して修復を実行します。
- 修復が完了したら設定を保存し、PCを再起動します。
TestDisk
TestDiskはオープンソースのパーティション回復ツールで、失われたパーティションや破損したブートセクタを修復します。マルチプラットフォームに対応しており、高度な復旧作業に適しています。
- 公式サイトからTestDiskをダウンロードし、解凍します。
- ターミナルまたはコマンドプロンプトを開き、`testdisk`を実行します。
- 復旧対象のディスクを選択し、「Analyze」を選択します。
- 失われたパーティションが検出されたら「Write」を選択して修復します。
- 完了後、パーティションが復元されたことを確認します。
光ディスク向けのデータ復旧ツール
光ディスクは時代とともに劣化しやすく、特殊な復旧ツールが必要です。
CDRoller
CDRollerは、傷ついたCD/DVDからデータを回収するツールで、特に古いメディアの復旧に最適です。
- ソフトウェアをインストールし、起動します。
- 対象の光ディスクをドライブに挿入します。
- 「Recover All Files」を選択してスキャンを開始します。
- 復元したいファイルを選び、「Save」ボタンで保存します。
自力で対応できない場合はデータ復旧の専門業者に相談する
自力で対応できない場合や、機器が物理的に破損している場合、個人での修復は困難です。重要なデータが含まれている場合、データ復旧専門業者に依頼するのが最も安全です。
データ復旧業者では、問題の根本原因を特定し、安全にデータを回復する最善の方法を提案できます。デジタルデータリカバリーでは、相談から初期診断・お見積りまで24時間365日体制で無料でご案内しています。まずは復旧専門のアドバイザーへ相談することをおすすめします。
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初期診断・相談・見積まで無料で対応可能
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よくある質問
いえ、かかりません。当社では初期診断を無料で実施しています。お客様の機器に初期診断を行って初めて正確なデータ復旧の費用がわかりますので、故障状況を確認しお見積りをご提示するまで費用は頂いておりません。
※ご郵送で機器をお預けいただいたお客様のうち、チェック後にデータ復旧を実施しない場合のみ機器の返送費用をご負担頂いておりますのでご了承ください。
機器の状態によって故障の程度が異なりますので、復旧完了までにいただくお時間はお客様の機器お状態によって変動いたします。
弊社は、復旧完了までのスピードも強みの1つで、最短即日復旧・ご依頼の約8割を48時間以内に復旧完了などの実績が多数ございます。ご要望に合わせて柔軟に対応させていただきますので、ぜひご相談ください。
営業時間は以下の通りになっております。
365日24時間、年中無休でお電話でのご相談・復旧作業・ご納品・アフターサービスを行っています。お困りの際は是非ご相談ください。
電話受付:0:00~24:00 (24時間対応)
電話番号:0800-333-6302
来社受付:9:30~21:00
復旧できる可能性がございます。
弊社では他社で復旧不可となった機器から、データ復旧に成功した実績が多数ございます。 他社大手パソコンメーカーや同業他社とのパートナー提携により、パートナー側で直せない案件を数多くご依頼いただいており、様々な症例に対する経験を積んでおりますのでまずはご相談ください。
この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。