ファイルの移動ができないエラーに直面したことはありませんか? 本記事では、データ復旧の専門家の視点から、考えられる原因と具体的な対処方法を徹底的に解説します。
目次
「ファイル移動に失敗しました」とエラーが出る原因
ファイルの移動に失敗する原因は多岐にわたり、どれも日常的に発生する可能性があります。これらの問題に迅速に対処するためには、原因を正確に特定し、それに応じた対策を講じることが重要です。ここでは、代表的な6つの原因を解説します。
アクセス権限の不足
WindowsなどのOSでは、セキュリティの一環として、ユーザーにファイルの読み取り、書き込み、削除、移動の権限を個別に設定することができます。これにより、重要なファイルを誤って削除したり、不正にアクセスされるリスクを軽減できますが、ファイルやフォルダに対して適切なアクセス権限がない場合、エラーが発生する可能性があります。
このエラーは、特に職場の共有ネットワークや、複数のユーザーがファイルにアクセスする環境でよく見られます。システム管理者が特定のファイルやフォルダに対して書き込みや移動を制限している場合、一般ユーザーはそのファイルを操作できません。
また、外部からUSBメモリや外付けドライブなどでファイルを持ち込んだ場合も、セキュリティ設定により移動がブロックされることがあります。
ファイルが使用中
ファイルが他のプログラムで使用中の場合、移動や削除がブロックされます。
これは、ファイルを開いているプログラムがファイルへのロックをかけることで、他のプロセスがそのファイルにアクセスできないようにしているためです。例えば、Microsoft WordやExcelのファイルを開いたままの状態では、ファイルの移動や削除ができません。
これはファイルがバックグラウンドで使用されている場合にも発生します。また、バックアップソフトやアンチウイルスソフトがキャンしている間や、クラウドサービス(Google DriveやOneDriveなど)がファイルを同期している最中にも発生することがあります。
ディスク容量不足
ファイルを移動する際、コピー元とコピー先の両方のドライブやパーティションに十分な空き容量が必要です。特に、大きなメディアファイルやデータベースファイルなどを扱う場合、空き容量が不足しているとエラーが発生します。
特にパーティションが複数あるシステムでは、あるパーティションに空き容量があっても、移動先のパーティションが一杯であれば、ファイル移動に失敗します。
ファイルの破損
ファイルの破損は、ファイルが正しく保存されていなかった場合や、突然の電源オフ、ウイルス感染などによって発生することがあります。破損したファイルは、システムに正しく認識されず、移動、コピー、削除などの操作に失敗することがあります。
特にHDDやSSDなどのストレージデバイスに障害が発生している場合、データの一部が破損することがあり、これにより操作上のエラーが生じやすいです。またUSBメモリや外付けドライブを正しく取り外さなかった場合にも、ファイルの破損が起こることがあります。
ファイルシステムエラー
ファイルシステムエラーは、ディスクの不良セクターやファイルシステムの構造自体が損傷している場合に発生します。
WindowsではNTFS、MacではAPFSやHFS+などのファイルシステムが使われていますが、これらが何らかの理由で壊れてしまうと、ファイル操作が正常に行えなくなります。
最悪の場合、データにアクセスできなくなるリスクも
ファイルシステムエラーが発生すると、最悪の場合、データにアクセスできなくなるリスクがあります。特に、突然の電源オフやハードディスクの物理的な故障は、ファイルシステムの重要な部分を破損させ、データが完全に失われる可能性を高めます。
さらに、修復ツールを使っても全てのエラーを直すことができず、むしろ誤った修復操作によって、データを上書きしてしまう危険も存在します。
たとえchkdskやディスクユーティリティが一時的に問題を解消できたとしても、根本的なディスクの物理的損傷や不良セクターがある場合には、再発するリスクが非常に高いです。特にビジネスデータや個人の大切なファイルが保存されている場合、ファイルシステムエラーを軽視して放置することで、最終的にデータの完全消失に繋がる可能性もあります。
したがって、ファイルシステムエラーが発生した際には早急な対応が求められ、自力での対応が難しい場合には、専門のデータ復旧業者に相談することが重要です。データ消失リスクを最小限に抑えるためには、正しい修復方法と慎重な対応が不可欠です。
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ウイルスやマルウェア
ウイルスやマルウェアは、システムファイルに影響を与えたり、ファイルをロックしたりすることで、正常な操作を妨害します。特に、ランサムウェアのようにファイルを暗号化するタイプのマルウェアは、ファイル移動やアクセスを完全に遮断してしまいます。
「ファイル移動に失敗しました」エラーの対処法
ファイル移動エラーを解決するためには、まず原因を特定する必要があります。ここでは、各原因に対する具体的な解決策を順を追って説明します。
管理者権限で実行する
アクセス権限の不足が原因でファイル移動ができない場合、管理者権限でファイル操作を試みることで問題を解決できることがあります。
- ファイルエクスプローラーを開き、移動したいファイルを右クリックします。
- 「管理者として実行」を選択します。
- その状態でファイルの移動を再度試みます。
使用中のプログラムを終了する
ファイルが他のプログラムで使用されている場合、使用中のプログラムを終了してからファイルの移動を再試行する必要があります。
- タスクマネージャーを開きます(Ctrl + Shift + Esc)。
- 「プロセス」タブから、該当ファイルを使用しているプログラムを探し、右クリックして「タスクの終了」を選択します。
- ファイルの移動を再度試みます。
ディスク容量を確認する
移動先のディスク容量が不足している場合、ファイルの移動が失敗します。ディスク容量を確認して、必要に応じて不要なファイルを削除しましょう。
- 「エクスプローラー」を開きます。
- 移動先ドライブの「プロパティ」を開き、空き容量を確認します。
- 容量不足の場合は、不要なファイルを削除して空き領域を確保します。
ファイルの破損を確認する
ファイルの破損が疑われる場合、ファイルの修復ツールを使って修復を試みることができます。Windowsでは、「sfc /scannow」コマンドを使用してシステムファイルをチェックできます。
- コマンドプロンプトを管理者として実行します。
- 「sfc /scannow」と入力し、Enterキーを押します。
- システムファイルの検査と修復が自動的に行われます。
ディスクのエラーチェックを行う
ディスク自体にエラーがある場合、ファイル操作が失敗することがあります。「chkdsk」コマンドを使用してディスクのエラーチェックと修復を行いましょう。
- コマンドプロンプトを管理者として実行します。
- 「chkdsk C: /f」と入力し、Enterキーを押します。
- システム再起動後、ディスクのチェックが自動的に行われます。
ウイルススキャンを実行する
ウイルスやマルウェアがファイルの移動を妨げている可能性があります。最新のウイルス対策ソフトを使用して、ウイルススキャンを実行しましょう。
- ウイルス対策ソフトを開きます。
- 「フルスキャン」を選択し、システム全体をスキャンします。
- スキャンが完了したら、検出されたウイルスを削除し、ファイル移動を再試行します。
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この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。