突然Macが起動しなくなり、電源を何度入れ直しても反応がない…。このような経験はありませんか?
起動トラブルは、電源関連の単純な問題から、ストレージの故障や過熱、物理障害など、原因が多岐にわたります。不適切な対処を行うと、さらに状況が悪化する危険があります。
この記事では、主な原因と症状、適切な対処法をご紹介します。また、自分で解決するのが難しい場合のために、専門業者の初期診断の重要性についても詳しく解説します。
目次
Macが起動しない主な原因と対処法
Macが起動しない原因は以下のように分類できます。それぞれの原因に対して適切な対処が必要です。
これらの原因の中でも、特に深刻なのが「物理障害」です。物理障害では、自己対応がほぼ不可能であり、専門的な診断と対処が必要です。
電源関連の問題
Macが起動しない場合、最初に確認すべきポイントが電源関連の問題です。電源ボタンを押しても反応がない、充電ランプが点灯しないなどの症状がある場合、電源アダプタやコードが正常に機能していない可能性があります。
また、バッテリーの過放電や寿命による劣化も原因として挙げられます。これが原因でMacがまったく起動しないケースも考えられます。
システム設定(SMC・PRAM/NVRAM)の問題
SMC(システム管理コントローラ)やPRAM/NVRAM(不揮発性ランダムアクセスメモリ)は、Macのシステム設定を管理する重要な役割を担っています。
これらが不正確な情報を記録している場合、起動途中で停止したり、画面が真っ暗のまま進まなくなったりすることがあります。特に、電源やファンの動作異常、画面表示の問題が発生している場合は、SMCやPRAM/NVRAMのリセットが必要になることがあります。
過熱やハードウェアの故障
過熱やハードウェアの物理的な故障も、Macが起動しない原因となることがあります。内部の冷却機能が正常に働かず、過熱が発生した場合、Macが自動的にシャットダウンしてしまうことがあります。また、ハードウェアの故障、例えばロジックボードやGPUのトラブルが発生すると、起動が途中で止まる、あるいは全く起動しなくなるケースも見られます。
システムアップデートやインストールの問題
macOSのシステムアップデートやアプリケーションのインストール中にトラブルが発生すると、起動が正常に完了しない場合があります。
特にアップデート中のエラーやインストールの不具合によってシステムが破損した場合、起動プロセスが停止してしまうことがあります。このとき進行状況バーが表示されたまま止まる、あるいはAppleロゴが表示されたまま進まないといった状況が生じることがあります。
ストレージの物理的破損(物理障害)

Macが起動しない原因として最も懸念すべきなのが「物理障害」です。
以下は主な物理障害の例です。
- 落下などの衝撃による内部部品の破損
- 水こぼしや湿気による水没ダメージ
- 長時間使用による過熱(熱暴走)
- 経年劣化による部品の寿命
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対処法① Macの電源が入らない場合

- Macの電源が入らない
- 電源ボタンが反応しない
- 充電中のマークが表示されない
このような症状が発生している場合、下記の対処法を試してみましょう。
Macの電源ケーブル接続、充電を確認する
まずは電源が入るかどうかの確認をしてください。Macの電源ボタンを押して駆動音が聞こえない、CapsLockキーを押しても緑ランプが点灯しないときは、以下のポイントを確認してください。
デスクトップ型Mac(iMacやiMacPro)の場合
MacやiMacProの場合、電源の供給は電源ケーブルで行われています。そのため、まずは電源ケーブルがしっかり接続されているか・コンセントにしっかりと差し込まれているかを確認しましょう。
ノートブック型Mac(MacBookAir、MacBookPro)の場合
MacBook AirやMacBook Proなどのノート型Macでは、バッテリーが電源供給を担っています。そのため、まず充電ができているか確認しましょう。充電ケーブルを接続しても電源が供給されない場合は、ケーブルの不良が考えられます。他のMacBookでケーブルを試して、正常に動作するか確認すると確実です。
充電を確認した後でも起動しない場合は、Mac自体が故障している可能性があります。
この場合は、個人で対処せず、専門業者に相談することをお勧めします。
不要な電力を放電する
パソコン内に不要な電力が帯電しているために電源が立ち上がらないケースがあります。この場合は不要な電力を放電することで、フレッシュな状態で電源を立ち上げることができます。放電する方法は下記の通りです。
- Macのパソコン上で起動しているすべてのアプリケーションを終了します。
- Macのパソコンにつないでいるマウス、キーボード、USB、外付けHDDなど、すべての機器を外します。
- パソコン上からスリープ状態にします。
- スリープ状態を解除しMacを再起動します。
対処法② 電源は入るがOSが立ち上がらない・アイコンが表示される場合

- Macが起動途中で止まってしまう
- アップルマークや禁止マークが表示されたまま起動できない
- カーネルパニックが表示される
上記の現象が発生している場合、macOSやアプリケーション、システム設定に問題が発生している可能性があります。
この場合の対処法は次の通りです。
ただし、この対処法で対応できるのは、この対処方法を試しても正常に起動できない場合、深刻な物理障害(ハードウェアの物理的な破損)が発生している可能性が高いと考えられます。
物理的な故障が疑われる場合はむやみに操作せず、専門家に診断してもらうことで正確な原因を特定し、適切な対応を行ってもらうことをおすすめします。
システム管理コントローラ(SMC)リセットを行う
SMC(システム管理コントローラ)は、電源やバッテリー、センサーなどを管理するシステムです。電源ボタンを押しても反応しない、またはMacBookの蓋を開閉しても反応しない場合、SMCリセットで問題が解決することがあります。
ただし、SMCリセットを繰り返すとMacに負担がかかるため、必要以上に行わず、他の対処法も試しましょう。
SMCリセット方法は次の通りです。
- Macをシャットダウンします。
- 内蔵キーボードの左側にあるShiftキー、Controlキー、Optionキーを同時に押し続けます。
- 電源ボタンも同時に押し続けます。
- すべてのキーと電源ボタンを10秒間押し続けます。
- 10秒経過後、すべてのキーを放します。
- 電源ボタンを再度押して、MacBookを起動します。
- Macをシャットダウンします。
- バッテリーを取り外します。
- 電源ボタンを5秒間押し続けます。
- バッテリーを再度取り付けます。
- 電源ボタンを押して、MacBookを起動します。
- Macをシャットダウンします。
- 内蔵キーボードの左側にあるShiftキー、Controlキー、Optionキーを同時に押し続けます。
- 電源ボタンも同時に押し続けます。
- すべてのキーと電源ボタンを10秒間押し続けます。
- 10秒経過後、すべてのキーを放します。
- 電源ボタンを再度押して、MacBookを起動します。
- Macをシャットダウンします。
- バッテリーを取り外します。
- 電源ボタンを5秒間押し続けます。
- バッテリーを再度取り付けます。
- 電源ボタンを押して、MacBookを起動します。
NVRAM(PRAM)リセットを行う
MacBookやiMacが起動しない場合、有効な方法の一つがNVRAM(PRAM)のリセットです。NVRAM(PRAM)は、Macの起動に必要な情報を記憶する小容量のメモリです。通常、NVRAMリセットはあまり必要ありませんが、電源は入るが起動しない場合に試すと問題が解消することがあります。
- パソコンの電源を切ります。
- 再度、電源を入れすぐに「P」+「R」+「command」+「option」の4つのキーを同時に押し続けます。
- Macを再起動し、起動音が2回するまで、キーを押し続けます。
しかしこの方法を行っても起動できない場合は、MacBookやiMac本体が物理的に損傷している可能性が高いため、それ以上の操作を控えましょう。
もし重要なデータがMac本体に保存されている場合は、データ復旧の専門業者まで相談することをおすすめします。
起動ディスクを修復する
起動ディスクとは、パソコンが起動される時に必要なデータが保存されているディスクのことです。起動ディスクを修復することで「はてな(?)マーク」が表示されなくなり、正常に起動できる可能性があります。起動ディスクを修復する手順は以下の通りです。
- 電源ボタンを電源が切れるまで長押しします。
- 電源を入れた直後に「Command」 + 「R」ボタンを押し続けます。
- macOS復旧で、ディスクユーティリティを使って起動ディスクを修復します。
- ディスクユーティリティでエラーが見つからない、もしくは見つけたエラーを修復した場合はmacOSを再インストールします。
自力で対処法を試してもMacPCの電源が入らない場合はこちら
セーフモードで起動する
セーフモードで起動とは、最小限のシステムだけで起動することを言います。セーフモードなら起動する可能性があり、OSが正常に起動しない時にMac本体に問題があるのか、インストールしたアプリなどに問題があるのかを判断できます。
- Macの電源を落とし、その後電源ボタンを押します。
- 「shift」キーを長押しして、Appleのロゴが表示されたら指を離します。
- 起動が可能な状態であれば、しばらくしてセーフモードで起動されます。
セーフモードでの起動が確認できたら、一度電源を落とし、再度いつも通りの方法で電源を入れてみましょう。
ハードウェアテストを実行する
Mac ハードウェアテストは、Mac 内蔵のハードウェアに問題がないかどうかを確認するための診断ツールです。問題が発生している場合は、このテストを実行することで、原因を特定することができます。
セーフモードで起動できる場合は、ハードウェアテストを実行してみてください。
- Macをシャットダウンします。
- Option + D キーを押しながら電源ボタンを押します。
- Apple ロゴが表示されたら、キーを離します。
- 言語選択画面が表示されたら、使用する言語を選択します。
- テストが完了するまで待ちます。テストには約5分~30分かかる場合があります。
テストが完了すると、画面にテスト結果が表示されます。結果には、以下の項目が表示されます。 テストが不合格だった場合は、ハードウェアに問題がある可能性があります。
この場合、自力での対応は機器の破損を招く恐れがあるため、Appleサポートに相談するか、データが必要な場合はデータ復旧業者に相談することをおすすめします。
リカバリーモードで起動する(MacOSの再インストール)
リカバリーモードとは、MacOSの再インストールをしたり、HDDの修復や削除を実施するときに使用されています。Macが起動しないときは、OSやHDDが原因で起動しないケースが多いです。リカバリーモード実行前には必ずバックアップをとってから実施しましょう。
- Macの電源を完全に落とします。
- 電源オフが確認できたら電源ボタンを押し、「command」+「R」を長押しします。
- Appleのロゴマークが出たら指を離します。
- 言語選択画面が表示され、MacOSユーティリティが出れば完了です。
別の起動ディスクを使用する
- Macの電源を落とします。
- 電源ボタンを押し、「option」を長押しします。
- Appleロゴが表示されたら指を離します。
- 起動ディスクの選択画面が表示されるため、普段とは違うディスクを選択します。
Time Machineで修復する
Time MachineとはMacに組み込まれているバックアップ機能のことです。
物理的な破損などの問題がなければ、Time Machineを使用して、起動時の読み込みバーが途中で止まる、円と斜線の禁止マークが表示されて起動しないといったトラブルが解決する場合があります。
HDD(ハードディスク)やメモリの互換性を確認
新しくHDDやメモリを購入する際は、互換性を確認しましょう。HDDやメモリには規格があり、これがMacと一致していない場合、正しく起動しないことがあります。
同じ見た目のMacでも、バージョンによって対応する規格が異なる場合があるため、注意が必要です。
対処法③ 自力で解決できない/突然のシャットダウン・クラッシュが起きる場合
自力で対応できない場合や、機器が物理的に破損している場合、個人での修復は困難です。重要なデータが含まれている場合、データ復旧専門業者に依頼するのが最も安全です。
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よくある質問
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この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。
詳しくはこちらを参照してください。
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