Windows10が起動しないトラブルは、多くのユーザーが経験する厄介な問題です。特に重要なデータが含まれている場合、早急な対応が求められます。
本記事では、起動できない場合の原因とコマンドプロンプトを使った具体的な対処法をわかりやすく解説します。なお、ハードウェア故障や深刻なデータ消失リスクがある場合は、データ復旧の専門家に相談することも検討してください。
目次
「Windows 10が起動しない」の原因
この問題が発生する原因にはいくつかの要因があります。以下の原因を確認して、自分のPCの症状に該当するものがないか見てみましょう。
システムファイルの破損
システムの主要ファイルが破損すると、OSが正しく起動しなくなります。これにはウイルス感染や不適切なシャットダウンが原因であることが多いです。
ブートローダーの不具合
Windowsが起動するためのブートローダーが正常に機能しない場合、OSが起動できません。この問題は、システム設定やマスターブートレコード(MBR)に影響を及ぼす不具合から発生することがあります。
ディスクのエラー
ディスク自体にエラーがあると、データの読み書きができなくなり、OSが起動しないことがあります。定期的なディスクチェックを行うことが重要です。
ウイルス感染
悪意のあるソフトウェアがシステムファイルやブートセクターに感染すると、正常な起動を妨げることがあります。セキュリティ対策が不十分な場合に起こりやすいです。
ハードウェアの故障
ハードディスクやメモリの故障が原因でOSが起動しないこともあります。この場合は、専門のデータ復旧業者に相談することを強く推奨します。
不完全なWindows Update
更新プログラムが正しくインストールされていないと、システムが正常に動作しなくなることがあります。更新が中断されると、ブートエラーが発生しやすくなります。
「Windows 10が起動しない」場合のコマンドプロンプトによる対処法
ここからは、コマンドプロンプトを使って問題を解決する方法を紹介します。コマンドプロンプトは、通常のWindows画面が表示されない場合でもアクセスできる回復ツールで、特にシステムファイルの修復やディスクチェックに役立ちます。
回復環境からコマンドプロンプトを開く
Windows 10が通常通りに起動しない場合、まず回復環境からコマンドプロンプトを開いてトラブルシューティングを行います。ここでは、回復環境からのアクセス方法を示します。
- PCの電源を入れ、起動中にF11キーを押し続けます。これにより「オプションの選択」画面が表示されます。
- 「トラブルシューティング」を選び、「詳細オプション」に進みます。
- 「コマンドプロンプト」を選択して、コマンド操作が行える画面を表示します。
システムファイルを修復する(SFCスキャン)
システムファイルチェッカー(SFC)は、Windowsのシステムファイルを検査し、破損しているファイルを自動で修復します。これにより、システムファイルの破損が原因の起動問題が解消されることがあります。
- コマンドプロンプトに「sfc /scannow /offbootdir=C:\ /offwindir=C:\Windows」と入力し、Enterキーを押します。
- スキャンが開始されるので、修復が完了するまで待ちます。
- 完了後、PCを再起動して、問題が解決したか確認します。
ディスクイメージを修復する(DISMコマンド)
DISM(Deployment Imaging Service and Management)は、システムのイメージファイルを修復するためのツールです。システムファイルのスキャンで解決しない場合に有効です。
- コマンドプロンプトに「DISM /Image:C:\ /Cleanup-Image /RestoreHealth」と入力し、Enterキーを押します。
- 修復処理が開始されるので、完了するまで待ちます。
- PCを再起動して、正常に起動するか確認します。
ブートローダーを修復する
ブートローダーが正常に機能していない場合、Windowsが起動できません。以下のコマンドを順番に実行して、ブートローダーを修復します。
- コマンドプロンプトで「bootrec /fixmbr」と入力して、Enterキーを押します。これにより、MBR(マスターブートレコード)を修復します。
- 次に「bootrec /fixboot」と入力し、Enterキーを押してブートセクターを修復します。
- 最後に「bootrec /rebuildbcd」と入力し、Enterキーを押してBCD(ブート構成データ)を再構築します。
- すべてのコマンドが完了したら、PCを再起動して、正常に起動するか確認します。
ディスクのエラーチェックを行う
ディスクのエラーが原因で起動しない場合、「chkdsk」コマンドを使ってディスクのエラーチェックと修復を行います。これにより、物理的なディスクの不具合が解消される可能性があります。
- コマンドプロンプトに「chkdsk C: /f /r」と入力し、Enterキーを押します。
- ディスクチェックが開始されます。エラーが見つかった場合、自動的に修復されます。
- チェックが完了したら、PCを再起動し、起動できるか確認します。
ウイルス感染のチェックと除去
ウイルス感染が原因で起動できない場合、アンチウイルスソフトウェアを使用してシステムをスキャンする必要があります。回復環境からでも実行できるウイルス除去ツールがあるので、それを利用することをおすすめします。
- 回復環境でコマンドプロンプトを開いた状態で、アンチウイルスツールが利用できる場合、そのツールを起動します。
- システム全体をスキャンし、検出されたウイルスを除去します。
- スキャンが完了したら、PCを再起動して、正常に起動するか確認します。
自力で対応できない場合はデータ復旧の専門業者に相談する
自力で対応できない場合や、機器が物理的に破損している場合、個人での修復は困難です。重要なデータが含まれている場合、データ復旧専門業者に依頼するのが最も安全です。
データ消失のリスクを最小限に抑え、確実にデータを取り出すためには、自己診断や修復を試みず、速やかに専門家に相談することが重要です。専門家は適切な診断ツールと経験を持っており、問題の根本原因を特定し、安全にデータを回復する最善の方法を提案できます。
特に重要なデータが含まれている場合は、データ復旧の専門家に相談することが最も安全で確実な方法です。データ復旧業者では、機器に発生している症状をもとにエンジニアが正確な初期診断を行い、故障原因を特定することが可能です。プロが対応するため、データ復旧に失敗するリスクを抑えることができます。
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この記事を書いた人
デジタルデータリカバリー データ復旧エンジニア
累計相談件数46万件以上のデータ復旧サービス「デジタルデータリカバリー」において20年以上データ復旧を行う専門チーム。
HDD、SSD、NAS、USBメモリ、SDカード、スマートフォンなど、あらゆる機器からデータを取り出す国内トップクラスのエンジニアが在籍。その技術力は各方面で高く評価されており、在京キー局による取材実績も多数。2021年に東京都から復旧技術に関する経営革新優秀賞を受賞。