VMWare server / Virtual Serverなど
ホスト型仮想マシンの復旧について
仮想マシン復旧のご依頼の多くは、HDDの物理障害に起因するサーバ障害か、データ等削除によるデータ損失です。こうした障害の発生した機器からデータを復旧するには、物理環境で動いているサーバと比べ、高度な技術が必要となります。ホームページへの記載がどうであれ、対応できる復旧業者は世界中を見渡してもそう多くはありません。
仮想マシンの復旧をご依頼される際は、必ずその企業の物理障害復旧の環境と実績・論理障害復旧の環境と実績をご確認下さい。
ホストOS上に実装される仮想マシンの復旧手順
HDDの物理障害が発生していない、ホスト型仮想マシン(VMWare serverに代表されるホストOS上に実装されるタイプの仮想マシン)の復旧は、まず、クローンHDDの作成から始まります。復旧作業が進むにつれ、ご依頼時には異常が無かったHDDにも異常が発生する事は珍しくありません。これは、サーバを構成するHDDが原則同メーカー・同シリーズ・同ロットのものを使用されている為です。こうしたリスクを最小限に抑えるため、当社では高速クローン作成専門マシンを使用し、お客様のHDD1台1台のクローン(セクタ単位での情報コピー)の作成を行います。
次に、ホストOSのファイルシステム(以下FS)を復旧します。このFSの復旧が難しい理由は2点あり、1点目は、このOSがそもそも何であるかの情報が正確にヒアリングできない事により、手探りで状況確認を行う必要がある事です。
これは、このサーバを導入した際の担当者が退職等の理由によりその場にいなかったり、導入を業者に頼んだにも関わらず、仕様書の所在が不明であったりするなど、「今その場で詳細がわかる人がいない」事に起因します。同じOSであっても、エディションやバージョンが違うなどで、FSに差異が現れることもある為、このホストOSの基本情報を正確に知る事は、仮想サーバ復旧の第一歩として非常に重要です。
2点目は、FSの情報そのものが世に出回っている事が少ない点です。データ復旧業者は、基本的にはメーカーとは別に復旧技術を研究・開発している為、最新のFSの情報は手元に無い事が殆どです。
こうした機器に対応するには、同スペックのサーバを購入し、その挙動を観察したり、FSを解析するなどしてお客様の機器のFSの異常個所を発見し、修復を行っていきます。この修復作業はソフトで簡単に出来るものではなく、お客様のHDD内の情報(セクタ情報を2進数で抽出)をバイナリエディタ上で16進数に変換して、1つ1つ技術員が手作業で解析していきます。
次に、そのFSの解析が終わり、仮想化レイヤー越しに正常にゲストOSの情報が見られる状態になると、ゲストOSのFSの修復を始めます。このFSの修復は、通常の物理環境で動いている機器と同様のFSの修復となりますが、複数の異なるOSが動いている場合その分解析するFSの数が増えるため、作業工数が多くなります。
最後に、お客様のご希望に合わせ、抽出したデータをご納品用媒体にコピーするか、クローンHDDを作成(詳細後述)し、お客様にHDDごとご納品いたします。
サーバの復旧難易度が高い根本的な理由
仮想化サーバに限らず、エンタープライズ向けサーバに使用されるHDDは1台あたりの容量が大きくなっており、その分HDDの構造が複雑になっています。コンシューマ向けHDDとは明らかに構造が違うため、コンシューマ向けHDDの復旧率が低い企業では、そもそもこのエンタープライズ向けHDDの復旧は行えません。
具体的には、HDD内のデータの読み書きを行う「磁気ヘッド」の大きさが全く違う事が挙げられます。そもそも、同じ大きさのプラッタ(HDD内の部品で、データが書き込まれる場所)に、より多くの情報を書き込もうとした場合、その書き込み密度が高く・小さくなる事は想像に易いと思います。
エンタープライズ向けサーバで使用されているHDDは、コンシューマ向けHDDと比べると、まさにこの状態になっています。
では、機能面でどう違うのでしょうか。HDDメーカーやシリーズごとに、具体的対策が違ったりはしますが、ここではSeagate社製F3シリーズと呼ばれる、サーバに多く使用されているHDDを例に取って説明します。
(左図2)
このF3シリーズは瓦書き方式(シングル磁気記録とも呼ぶ)を採用する事で、高密度化を図っています。この瓦書き方式はデータの書き込みをする際、前のトラックに重なるようにデータを書き込む事でトラック密度を高め、1プラッタあたりのデータ保存量を多くしています。(左図1)
トラック密度を高くすると、次に読み込みの問題が出てきます。HDD内のデータの読み込みは、セクタ内の隣り合った磁化の方向を0と1の二進数に変換する事で行われます。磁化の向きは、セクタ単位で変わりますが、少しでもズレれば隣り合うトラックの情報と読み間違いを起こしかねません。(左図2)
では、このHDDに障害が発生し、初期診断の結果磁気ヘッドに問題が発生したとなった場合、どうなるでしょうか。問題の部品である「磁気ヘッド」は「正しく動く、限りなくオリジナルHDDに近いドナーHDDの磁気ヘッド」と交換されます。
しかし、このドナーHDDの選定が非常に難しいのが現実です。高密度化が進んだHDDは、部品の互換性が通常のHDDよりも更に低く、当社でもこのシリーズの復旧を始めたばかりの頃では例え20回部品交換を行ってもデータの取り出しが出来ない事がありました。勿論、闇雲に交換していた訳ではなく、ドナーとしての適合率が高いもののみを選定して交換を行っているにも関わらず、です。現在、当社では研究の末どのHDDにはどのドナーの適合率が高いのかを把握しているため、ドナーHDDとの部品交換も通常のHDD同様高い復旧率を残しています。
では、部品交換が成功すればデータは読み込めるのでしょうか。
答えは違います。例え同メーカー・同シリーズ・同ロットのHDDであっても人間にはわからない程の細かな微差で、データの読み込みが正しく行えず、データを読み出す事が出来ません。この最後の「微差」を整えるには、HDDの動作を制御しているファームウェアの書き換えが必要となります。HDDは、前述の通りナノ単位で設計され、動いています。とはいえ、ナノ単位で本当に全て同じ物が作れる訳ではありません。特に磁気ヘッドとプラッタは基本的に「全く同じ物」は狙って作ることは出来ないと言っても過言ではないでしょう。
この「差」を、HDDメーカーはファームウェアで制御する事で解決し、安定稼動するHDDを世に輩出しています。HDDの部品交換を行うという事は、意図的にこの「差」を作り出す事となり、データを読み込むには、ファームウェアの書き換えが必要となります。これは、データ復旧業者であればどこでもできる訳ではありません。専門の専用設備を揃え、更にファームウェアに関する深い知識が必要となります。
こうした理由から、仮想化サーバの復旧は、構成の複雑さ以前に「サーバを構成しているHDDが復旧できない」という理由で復旧が出来ない企業が多いです。こうした機器のHDD復旧が出来るか否かを見極めるには、各企業の「復旧実績」内に、「HDDの物理障害を復旧した後、仮想化OSのFS解析を行い、データを抽出した」旨の記載があるか否かでしか判断できません。ご依頼やお問合せの前には、必ず一度ご確認下さい。
クローンHDD作成で安全復旧
当社のデータ復旧作業の特徴に「クローンHDDの作成」があります。
既に何かしらの異常が発生しているHDDに対し論理障害の復旧措置を行う場合、HDDに重い負荷がかかる為、最初の障害発生時には異常が発生していなかったHDDに新たに障害が発生する事を防ぐ目的があります。
サーバ内で使用されているHDDは原則同メーカー・同シリーズ・同ロットである事が多いです。万一、サーバ内の1台のHDDに経年劣化による物理障害が発生している場合、更に負荷をかけ続けることにより、他のHDDに障害を誘発する事は想像に易いと思います。
また、障害と言うよりは「データ・パーティションの削除」であった場合、HDDを稼動させ続ける事により元々データが書き込まれていた部分にデータの上書きが発生したりするなど、「本来であれば復旧できたデータを復旧できなくする」事を防ぎます。
こうした理由から、当社では、お客様のお手元により確実にデータをお渡しするため、クローンHDDを作成し、データ復旧を行っています。勿論、その分時間はかかりますが、当社では最先端のクローン作成設備を導入している為仮想化サーバからの復旧であっても最短当日中にデータのご納品が可能となっております。
ご希望に合わせ、データ復旧のみも
環境復旧(クローンHDDでのご納品)も可能です
仮想化サーバを使用されている場合、「データだけとりあえず手元に戻れば良い」というお客様もいれば「もとの環境で使用できるようにしてほしい」というお客様もいらっしゃいます。当社では、前者は勿論、後者のご対応も可能です。前述のクローン作成マシンを使用し、新しいHDDにオリジナルHDDの情報及び復旧完了したHDDの情報のクローンをとり、お客様にHDDごとご納品する事が出来ます。クローンHDDでのご納品となった場合、お客様は指定された順番通りにHDDをサーバ機器に入れる事で再び過去と同じ環境でそのサーバを使用する事が可能となります。(※環境復旧の場合、別途費用を頂戴する可能性があります。お見積もり時にご相談下さい)
お気軽にご相談ください
当社では、機器毎に専門アドバイザーが常駐しており、お客様の状況を伺った上で、考えられる障害や、その障害だった場合の概算金額・概算の復旧日数をご案内する事が可能です。状況により、エンジニアを交えてご相談をお受けする事も可能でございますので、まずはお電話にてご相談下さい。
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